本文に移動

重大災害処罰法、2年の猶予なしに現行通り施行=韓国

登録:2024-02-02 06:18 修正:2024-02-02 07:51
国民の力「2年猶予+産安庁の設置」を提案 
民主党院内指導部、「交渉可能」と判断したが 
労働界の反発・党内の意見受け「提案拒否」
1日、国会で開かれた共に民主党の議員総会場の前で、正義党と労働界関係者たちが会議場に向かう議員たちに向かって重大災害処罰法の猶予に反対の立場を表明している/聯合ニュース

 韓国の最大野党「共に民主党」が1日、50人未満の事業場に重大災害処罰法の適用を猶予しようという与党「国民の力」の提案を受け入れないことを決めた。民主党が重大災害処罰法の適用猶予不可の意思を明確にしたことで、今後これと関連した与野党のさらなる交渉は事実上難しいものとみられる。国民の力と大統領室は「民生問題(庶民の暮らし・経済の問題)に背を向けた」と反発した。

 民主党は同日午後、議員総会を開き、重大災害処罰法の適用猶予案を協議し「現行通り施行」する方針を決めた。ホン・イクピョ院内代表は議員総会後、記者団に対し、「民主党は政府・与党の提案を拒否することにした。現在施行されている重大災害処罰法はそのまま施行するという結論を下した」とし、「民主党は産業現場で労働者の生命と安全を優先するという基本価値を充実に守ることにした」と述べた。

 2022年1月に初めて施行された重大災害処罰法は、先月27日から5人以上50人未満の事業場まで拡大適用されている。同日の議員総会は、これを元に戻して50人未満の事業場への法適用を2年間猶予する代わりに、産業安全保健庁(産安庁)を設置しようという国民の力の提案について議論する場だった。

 産安庁の設置は、この法の拡大適用を猶予しようという国民の力の要求に対抗し、民主党が掲げた「前提条件」だったが、これまで政府がこれを受け入れず、合意が行われなかった。ところが26日、大統領室が国民の力にこれを受け入れられるとの意向を伝え、同党のユン・ジェオク院内代表が民主党のホン・イクピョ院内代表に法の拡大適用を2年さらに猶予するとともに、産安庁を2年後に開庁することを主な内容とする交渉案を提示したことで、議論が急速に進むかのようにみえた。

 民主党の院内指導部は、これほどの内容なら党所属議員と労働界も説得できると判断したようだ。総選挙を目前にして「民主党が零細自営業者と小商工人を死地に追い込んでいる」として、政府・与党と一部メディアが反対世論を誘導し、法適用当事者らの反発が大きくなる状況も考慮せざるを得なかったという話もある。

 しかし、同日の議員総会では、発言者15人のうち10人ほどが法適用の猶予に反対したという。ある議員は「すでに(法が施行された後にも50人未満の事業場には)2年の猶予期間があり、(2021年の立法後)施行自体も1年延ばされたのに、まだ準備が整っていないというのはつじつまが合わないという意見が多かった」と伝えた。ユン・ヨンドク院内報道担当は「産安庁の設立が必要だという立場には変わりないが、法案施行猶予と産安庁の設立を取引するわけにはいかないというのが今日の結論」だと述べた。

 労働界も強く反対した。同日の議員総会に先立ち、「キム・ヨンギュン財団」のキム・ミスク代表とクォン・ヨングク弁護士、正義党のカン・ウンミ議員らはホン院内代表を訪ね、与党の交渉案を拒否してほしいと要請した。カン議員は「重大災害処罰法の適用猶予と産安庁の設立は別々の問題であり、それは文在寅(ムン・ジェイン)政権時期に民主党の党論でもあった」と指摘した。この席では一緒に訪問した重大災害被害者遺族たちが「なぜ労働者の命をめぐり取引をしようとするのか」としながら、涙を流す場面もあったという。彼らは民主党の議員総会が行われる間、国会本会議場の外で「重大災害処罰法の猶予反対」と書かれたプラカードを持って民主党議員たちに訴えた。

 民主党の「交渉不可」の結論に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「(民主党が)結局、民生問題に背を向けた」と非難した。大統領室のキム・スギョン報道官は書面ブリーフィングを通じて、尹大統領が「与党の院内代表が産安庁を受け入れたにもかかわらず、民主党が拒否したのは、結局は民生問題よりも支持層からの得票を政略的に選んだのではないか」として、このように語ったと伝えた。

 国民の力のユン・ジェオク院内代表も「民主党が両大労総の顔色をうかがい、現場の声を無視した」とし、「800万の勤労者と83万の中小企業・零細自営業者らの涙を無視した民主党の非情さに対し、国民が必ず審判を下すだろう」と述べた。

 一方、同日の国会本会議では公共駐車場でのキャンプ・炊事などを禁止する駐車場法の一部改正案、自動車ナンバープレートの封印制度を廃止する自動車管理法の一部改正案など法案47件を処理した。

カン・ジェグ、ソ・ヨンジ、キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1126948.html韓国語原文入力:2024-02-01 20:30
訳H.J

関連記事