「梨泰院(イテウォン)惨事(雑踏事故)」と関連してソウル警察庁のキム・グァンホ庁長と龍山(ヨンサン)消防署のチェ・ソンボム署長の起訴の可否を議論した最高検察庁(大検察庁)の捜査審議委員会は、「キム庁長の起訴」を15日に検察の捜査チームに勧告した。チェ署長については不起訴を勧告した。
最高検察庁は15日午後2時から捜査審議委懸案委員会を開き、午後10時ごろまで討論をおこなった末、9対6の意見でキム庁長の起訴を採択し勧告した。チェ署長については14対1で不起訴を勧告した。
この日の審議委にはソウル西部地検の捜査チームと梨泰院惨事の遺族の法律代理人が参加し、起訴の是非について意見を表明した。遺族たちは意見書で「キム庁長は2022年10月31日のハロウィーンの前の10月14日に、『ハロウィーンを控えた雰囲気および負担要因』と題する報告書など、事故に備える必要性が記された3つの報告書を受け取っており、10月4日のソウル警察庁の全国指揮部オンライン会議などの3回の事前オンライン会議では『多くの人が集まると予想される』と語るなど、梨泰院惨事の発生を予見していたにもかかわらず、惨事を防ぐために必要な措置を取らなかった」と主張した。
警察庁特別捜査本部(特捜本)はキム庁長を送検した際に、大衆が密集する行事に関する混雑警備を樹立する義務があり、所属公務員に対する指揮・監督権を持つキム庁長は、惨事当日に多くの人が集まることを事前に認識していたにもかかわらず、安全対策の樹立、人波管理のための警察官機動隊の配置など、人命事故の防止対策を樹立・実施しなかったと述べている。
チェ署長について遺族側は、龍山消防署は消防安全対策期間を2022年10月28日からと設定するなど、ハロウィーンに人が密集することを予想していたにもかかわらず、消防安全対策の総括者であるチェ署長は具体的かつ即時的な防止対策を立てていなかったと主張していた。
警察庁特捜本は昨年1月13日、キム庁長とチェ署長を含む23人を業務上過失致死傷などの容疑で送検した。その後、検察が1年近く捜査を続けたにもかかわらず結論を下せていないことを受け、イ・ウォンソク検察総長は最重要被疑者であるキム庁長とチェ署長の起訴の可否を捜査審議委で議論することを今月4日に職権で決めた。最高検察庁は審議委の開催理由について「梨泰院惨事事件の重大性と国民的関心、現在までの捜査および裁判の経過、業務上過失の法理に対する様々な意見、業務上過失に関する国内外の事例や最近の判例などを総合的に考慮したもの」と説明した。
検察捜査審議委は、検察の捜査の中立性と透明性を高めるために捜査および起訴の適正性を審議する外部機関。2017年に設置された。審議委の決定は勧告的な効力を持つに過ぎないため、検察は必ず従う必要はない。
検察捜査審議委の勧告を受けた西部地検は「捜査審議委で審議、議決した内容を総合して証拠、事実関係および法理を綿密に分析した後に、最終的に処分する予定」だと述べた。