梨泰院(イテウォン)惨事の遺族たちが18日、厳しい寒さで凍りついた地面にひざまずき、全身を地面に投げ出す五体投地を行いながら行進した。行進は国会の塀に沿って3キロに及んだ。20日の国会本会議での梨泰院惨事特別法案の可決を求めるものだ。今月14日から「159時間非常行動」に突入している遺族たちは、国会前のテントで酷寒の中、夜を徹して座り込みをおこなっている。五体投地は14日から20日まで毎日行われる予定だ。
梨泰院特別法案は6月30日、野党4党の主導で迅速処理案件(ファストトラック)に指定され、8月31日に所管の常任委員会である行政安全委員会を通過した。その後、90日間の法制司法委員会での審議期間を満たし、先月末に本会議に自動的に付されている。国会法は、迅速処理案件が本会議に付された日から60日以内に「上程されなければならない」と規定している。もはや法案処理を先送りする理由も大義名分もない。このまま60日が過ぎれば本会議に自動的に上程される。国会はまたしても、それまで法案処理を先送りし、街頭で泣き叫ぶ遺族を放置するつもりなのか。
独立的な特別調査委員会を設置して惨事の原因、収拾過程、後続措置などの問題を全面的に明らかにするとともに、被害者の権利の保障策および再発防止策を樹立するという特別法の趣旨は、再論する必要もない。刑事的責任に限定された検察と警察による捜査は、惨事の原因と責任の所在を多角的に究明するにあたっても限界があることは明らかだった。実際に行われた捜査や起訴も、実務級を対象とした「尻尾切り」に終わった。予防、対応、復旧という災害管理の段階ごとに問題を確認し、悲劇の再発を防ぐための教訓として胸に刻むには、独立的で包括的な調査が欠かせない。国連自由権規約委員会も先月、「事件の原因を明らかにするための全面的かつ独立的な調査が行われておらず、被害者に効果的な救済が提供されていないことに遺憾の意を表明する」とし、独立的な調査機関の設置、高位職を含む責任者の審判、遺族に対する適切な賠償、再発防止策の整備などを政府に勧告している。特別法の趣旨そのものだ。
このような特別法の制定を遮ってきた与党「国民の力」は最近、梨泰院惨事の被害者らに対する補償・支援策を盛り込んだ別の特別法を提出した。被害者と遺族のことを本当に考えるのなら、今になって恩着せがましい特別法を提出するのではなく、本会議に付されている特別法の可決に協力すべきだ。野党「共に民主党」は何度も特別法の迅速な可決を約束している。与野党は20日に梨泰院特別法を制定することにより、国民の命と安全を守るという国会の義務を果たすべきだ。