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韓国、今年の小学校入学者数40万人割れ…教育庁は「小さな学校存続」に腐心

登録:2024-01-04 00:11 修正:2024-01-05 00:41
昨年2月、大邱のある小学校の新入生予備召集で、新入生と保護者が教室を訪れている/聯合ニュース

 出生児数が毎年減少していることで、今年のソウルの小学校の就学対象児童が初めて6万人を割った。今年の小学校の入学者数は全国で40万人にも満たないとみられる。児童数の急減に伴い、学校の規模縮小や児童分布の不均衡などによる教育環境の悪化を防ぐべき各市道の教育庁の苦悩も深まっている。

 ソウル市教育庁が3日にまとめた2024学年度のソウルの小学校の就学対象者は5万9492人で、1年前に比べ実に10.3%も減少。わずか4年前の2020年には7万1356人だった就学対象者数は、2023年に6万6324人と7万人を割ったのに続き、わずか1年で6万人を割った。就学対象者は小学校に入学する6歳児(2017年1~12月生まれ)で、昨年の就学猶予者や早期入学者も含まれる。ただし、入学前に国外へ移住したり就学猶予を選択したりするケースもあるので、実際の小学校1年生の数は就学対象者より少ない。

 入学者の減少は学校の規模縮小と児童分布の不均衡問題に直結する。他の地域に比べて状況が良好なソウルでさえ、613校ある小学校のうち小規模校(全校児童240人以下)は73校で、その割合は12%にのぼる。ソウル市教育庁の関係者は「児童数が少ないとコミュニティー活動が求められる教育課程を運営することが難しくなる」とし、「チーム対抗の運動会をするのも難しいし、数年を同じ友達と過ごすことになるため交友関係が限られる面もある」と話した。

 特にソウルは区ごとの児童数の差が大きい。ソウル市教育庁の資料によれば、今年の瑞草区(ソチョグ)の小学校の就学対象者は3213人で、1校当たりの児童数は146人。一方、中区(チュング)は就学対象者が513人、1校当たりの児童数は57人にとどまる。大規模なマンション団地があるか人気のある上級学校の多い地域では過密学級を懸念し、一方では児童の減少による廃校を懸念している格好だ。ソウル市教育庁は昨年10月、このような不均衡な学齢人口分布の問題を解消するために「都市型キャンパス(分校)」設立を推進することを決めた。通常、小学校を設立・運営するには36学級、600~900人ほどの児童数が必要だが、それより規模の小さい分校を弾力的に設立して廃校を防ぐとともに、過密学級を解消しようという趣旨だ。

 ソウルをはじめとする全国の小学校の入学者数も、今年は初めて40万人を割る見通しだ。教育部の関係者はハンギョレの電話取材に対し、「今年の全国の小学校の入学者数は39万6533人になると推定している」と述べた。今年の全国の就学対象者は41万3056人だが、通常、実際に入学するのは就学対象者の96%程度であることを考慮した見通しだ。全国の小学校の入学者数(4月時点)は2019年に47万2947人を記録して以降、減少傾向にあったが、昨年も40万1752人と、これまでは40万人台を維持してきた。これは今年小学校に入学する2017年の出生児数が35万7771人にとどまった結果で、同年の出生児数はその前年(40万6243人)に比べ4万8千人も少ない。

 高齢化と経済の低迷に直面している農山漁村地域では、児童数の減少はすなわち地域消滅の危機の兆候だ。慶尚北道教育庁の関係者は「山間地域の多い慶尚北道の特性上、学校は単に子どもたちを教える機能を果たすだけのものではない。邑・面(日本の町・村にあたる)地域は、学校の消滅は一つの邑・面が死ぬのと同じだという認識を持っている」と語った。学校が統廃合されてなくなってしまえば、子育てする若年層の流入の減少も一層ひどくなり、地域消滅に拍車がかかるということだ。

 教育の質を維持するために学校の規模を一定水準に保ち、各児童により多くの支援ができるという小さな学校ならではの長所を生かすことに、各地域の教育庁がこだわる理由はここにある。慶尚北道教育庁は2019年から「小さな学校自由学区制」を導入している。小規模な学校の学区を広くとり、他の村の児童が住所を移さなくても通えるようにした制度だ。全羅南道教育庁はこの3月から、書店や文具店などで使える児童教育手当てを道内の小学生に支給する予定だ。全羅南道の教育庁学齢人口政策チームの奨学士(日本の指導主事にあたる)であるチャン・ジェワンさんは「全羅南道の学校の半数近くが小規模な学校なので、農山漁村留学や手当て支給などの手段を用いてでも小規模な学校に児童が確保できるようにしようとしている」と語った。

キム・ミンジェ、キム・ユンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/1122866.html韓国語原文入力:2024-01-03 18:41
訳D.K

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