韓国の人口構造は経済成長を制約するまでに至り、今後30年間にわたって1人当たりの国内総生産(GDP)成長率を年平均で1.13ポイント低下させる。このような分析が示された。
大韓商工会議所持続成長イニシアチブ(SGI)は14日に発行した「出生率向上のための政策提言」と題する報告書で、韓国は2016年を前後して人口構造が経済成長を促進する「人口ボーナス(bonus)」区間を抜け、少子高齢化が経済成長を制約する「人口オーナス(onus)」区間に入ったと分析した。生産年齢人口は減る一方、扶養しなければならない人口は増えることで、経済成長が低迷する時期にすでに足を踏み入れているというのだ。
同報告書によれば、総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)の割合は、1970年には54.4%だったが、2020年には71.7%にまで高まり、1人当たりGDP成長率を年平均で0.93ポイント高めた。しかし2050年には生産年齢人口の割合が51.2%にまで低下し、2020年から2050年まで1人当たりのGDP成長率を年平均1.13ポイント低下させる。
韓国の少子化対策予算は年間52兆ウォン(2022年)で、出生児1人当たり2.1億ウォンにのぼるが、合計特殊出生率は0.78人で、現在の人口規模を維持しうる合計特殊出生率(2.1人)を大きく下回っている。報告書は「韓国は妊娠可能な女性と出生児の数、婚姻夫婦の望む子どもの数が減少しているうえ、青年層の将来の期待所得が消費水準に追いつけていないことで、出生率が上向かず下落を続ける『少子化の落とし穴』にはまっている」と診断した。
報告書は韓国の出生率急落の原因として、首都圏への集中と重い住居費負担▽子どもに対する投資の多さと競争水準の高さ▽労働市場の硬直性▽男性の家事負担率の低さ▽若年層の認識の変化などをあげた。
報告書は、所得水準の向上と女性の経済活動の増加は出生率と相反する関係では必ずしもないと指摘した。かつては女性の経済活動参加率が高いほど機会費用のせいで出生率が低かったが、2000年以降は高所得国で女性の経済活動参加率と出産率が共に上昇する現象が見られるということだ。報告書は女性の社会参加と出生率が共に高い国の特徴として、安くて柔軟な保育サービス▽育児に対する父親の協力▽家族にやさしい社会的規範▽柔軟な労働市場などをあげた。