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いまだに職場で人が殴られる韓国…「頭から出血、ろっ骨にひび」

登録:2023-12-11 02:18 修正:2023-12-11 07:49
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 「営業として就職しました。支店長は月のノルマが達成できないと、何を考えて生きてるんだと人前で暴言を吐き、何人かは頬をたたかれたり首を絞められたりなどの暴行を受けてもいました」(2023年11月にパワハラ119に寄せられたEメール)

 市民団体「パワハラ119」は、今年1月から11月までに寄せられた身元の確認できるEメールによる情報は1121件で、そのうち直接的な物理力の行使があった暴行被害情報は65件だったと発表した。刑法上の暴行罪に当たるのはもちろん、労働基準法でさらに厳重に処罰される職場での暴行が、いまだに後を絶たないのだ。

 寄せられた事例を見ると、暴行が行われたのは会議室、事務所、会食の席などで、そのやり方も様々だ。Aさんは2023年6月、「金融企業の支店で働いています。酒席の後、常務を家までお送りしている途中で、いきなり何かに腹が立ったのか、悪態をつきながら傘で私を数回殴り、傘を投げつけてもきました」とパワハラ119に訴えてきた。食堂で働いている情報提供者Bさんは1月、「食堂の店主が教えくれてもいないことについて、私のやり方が気に食わないと言って足で向こうずねを蹴ってきて、携帯電話で血が出るまで頭を殴られました。怒って胸をたたいてきて、ろっ骨にひびが入ったこともあります」と訴えた。提供された事例の中には、火のついたタバコを目の近くに持ってきて「焼いてしまうぞ」と脅迫したり、はしごの上からペンチやハサミなどを下に投げつけたりする暴行行為などもあった。

 暴言や暴行は職種を問わず起きていた。9月からパワハラ119が全国の満19歳以上の1000人以上の社会人に対して実施した職場でのいじめ経験を問うアンケート調査の結果を見ると、1000人中153人(15.3%)が暴行や暴言を経験しており、事務職(14.8%)、生産職(17.2%)、サービス職(15.2%)など職種を問わず均等に散らばっている。事例からは、暴行を受けても通報や問題提起をためらう様子もうかがわれた。ある情報提供者は、「(暴行を受けたが)無断退社すると不利益を被るのではないか」との懸念を示した。

 殴る、胸ぐらつかむといった、身体に対する直接的な物理力の行使はもちろん、相手の体には触れなくても、殴るように手足や物を振りかざしたり投げつけたりする行為、故意にタバコの煙を相手に吐いたり唾を吐いたりする行為も、刑法および労働基準法上の犯罪行為に当たる。刑法は「人の身体に対して暴行を加えた者は2年以下の懲役、500万ウォン以下の罰金、拘留または科料に処する」と規定する。労働基準法は、特に職場において「いかなる理由があろうと労働者に暴行を加えることはできない」と規定している。違反すれば「5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金」と、刑法上の暴行罪より厳しく処罰される。

 パワハラ119のキム・ハナ弁護士は「職場で起きる暴行は類型を問わず許されない行為であり、いじめを越えた犯罪」だとし、「にもかかわらずこのような情報提供が絶えないのは、閉鎖的な組織文化に慣れて暴行を容認したり、異議を唱えた人に不利益を与えたりする慣行があるからだと診断する」と話した。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1119758.html韓国語原文入力:2023-12-10 13:57
訳D.K

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