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育児休暇を取ったら「退職しろ」という会社…雇用労働部はどう処理?=韓国

登録:2023-10-31 08:59 修正:2023-10-31 09:19
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 「育児休職の延長を希望したら、退職してから再入社しろと言われ、延長できなくされた」

 「出産休暇終了後、すでに勤務者がいるので原職復帰は難しいと言われた」

 韓国の雇用労働部が4月に設置したオンライン母性保護匿名申告センターに届け出のあった事例だ。今年第2四半期の合計特殊出生率が0.7人と過去最低値を記録した中にあっても、育児休職、育児期の労働時間短縮、出産休暇などの母性保護制度が現実において作動していない状況が如実に表れている。

 労働部は30日、育児休職などの母性保護制度の違反事例のオン・オフラインでの届け出内容の類型、および措置の現状を公開しつつ、「6カ月間に220件の届け出があり、203件については是正させ、17件については事実関係を調査中」だと明らかにした。母性保護申告センターの運用は、今年3月に大統領直属の少子高齢社会委員会が発表した少子化対策の一つで、母性保護制度とこれを活用できていない現実との隙間を埋めるために問題のあるケースを届け出てもらい、労働監督の強化などを実施するというのが趣旨だった。

 届け出のあった事例を制度ごとに見ると、育児休職(40.9%)に関するものが最も多く、次いで育児期の労働時間短縮(17.3%)、出産休暇(9.1%)が多かった。違反行為では、休暇(休職)使用を理由に不利な処遇(32.7%)をされたケースが多かった。「育児休職後に退社を促された」あるいは「育児休職を理由に事業主に退職を勧告された」というものだ。育児休職を与えなかったり、使用を理由に不利益を与えたりすると、使用者は500万ウォン(約55万2000円)以下の罰金に処される。届け出のあった例の中には「90日の出産休暇を与えなかった」ケースもあった。出産前後の休暇の未付与は2年以下の懲役、または2000万ウォン(約221万円)未満の罰金に処される違法行為だ。

 しかし労働部の申告センターに届け出のあった母性保護制度違反は、ほどんどが「行政指導」で済まされていた。会社側に対する是正要請程度で処理が済まされており、処罰や過料処分などにはつながっていないということだ。軽い処罰は、育児休職(1988年)、出産前後休暇(1953年)などの長い歴史を持つ母性保護制度が依然として現実において作動していないことの代表的な理由だと指摘されている。

 社団法人「パワハラ119」のパク・チョムギュ運営委員は「母性保護制度違反の場合、是正すると言っておきながら、その後、会社側が各種の嫌がらせで自発的な退社に追い込むケースが非常に多く、ストレスが子どもに及ぼす影響も憂慮されるため、労働者が自ら問題提起することが難しいという特性がある」とし、「重複・常習事業所に対しては労働部が先制的な特別労働監督を実施するとともに、厳正に法を執行してこそ母性保護制度が職場にきちんと定着しうる」と語った。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1114275.html韓国語原文入力:2023-10-31 07:00
訳D.K

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