「就職にすべてをかけたけど疲れてしまったし、チャレンジ精神もわかない」
統計庁の調査で、先週何をしたかという問いに「休んだ」と答えた20代の若者の声だ。就業者でも、かといって失業者でもない人の数は、今年だけで月平均41万人(満15~29歳)に達する。社会経験を積むことに専念すべき若者たちは、なぜ休んでいるのか。
統計庁が15日に発表した「10月の雇用動向」によると、先月の韓国の就業者数は2876万4千人で、昨年同月に比べて34万6千人の増。就業者数の増加は3カ月連続。介護などのサービス業を中心に雇用が増え、10月の雇用率(63.3%)は過去最高、失業率(2.1%)は過去最低となった。
良好な雇用状況の真っただ中ではあるものの、休んでいる若者は少なくない。ここ4週間、求職活動をせずに「休んでいる」と答えた若者は、今年1~10月には月平均で41万人(10月は36万6千人)にのぼった。休んでいる若者の人口は、2016年には26万9千人だったが、新型コロナウイルス禍初年の2020年(44万8千人)でピークに達した。その後はやや減少したものの、今年に入って増加に転じた。若者人口に占める割合も2020年(5.0%)以降の低下が止まって上昇に転じ、今年(10月まで)は4.9%にのぼる。
企画財政部がこの日発表した「青年層の労働市場流入促進策」を見ると、若者が休む理由がうかがえる。この資料には2826人の「休んでいる若者」に対するアンケートの結果と、45人に対する深層面接調査の内容が記載されている。
若者たちは「希望する働き場所を見つけるのが困難」(33%)と「次の仕事の準備」(24%)を休んでいる主な理由としてあげた。彼らの75%は職業経験があり、65%は求職の意思もあった。労働市場の二重構造が固定化するとともに、随時・キャリア採用が拡大していることで、良質の仕事を見つけることが難しくなっている、という現実がうかがえる結果だ。
社会生活そのものに恐怖を感じて休んでいるケースもあった。職場生活に適応できずに退職した、そもそも孤立したり引きこもったりしやすい性格であるなど、社会参加に対する意欲が低いケースだ。深層面接に参加した就業経験を持つ20代後半の青年は「自分が仕事ができないように思えて萎縮してしまい、(職場を)辞めた」と打ち明けた。就職経験がなく3年以上も求職活動をしていない20代後半の青年も「社会の役に立ちたいのに、1人前の仕事はできないと思う」と答えた。
政府はこのような分析にもとづき、休みのタイプに合わせた対策を打ち出した。就職準備生に合わせた雇用サービスを提供するとともに、就業者が労働市場を離脱しないよう、若者親和的な企業文化の拡大を支援することにしている。孤立・引きこもり青年の社会復帰を支援するなど、脆弱層への支援策も実施する。来年の予算案で策定された関連予算は約1兆ウォン(約1160億円)。
企画財政部の関係者は「休んでいる期間が長期化すれば、若者個人の雇用の可能性と質が低下するうえ、若者が非労働力化されることで韓国経済の潜在成長率が低下する恐れがある」と述べた。
政府の支援策も必要だが、景気回復こそ根本的な解決策だとする意見も出ている。韓国労働研究院のキム・スンテク先任研究委員は「景気のサイクルと休んでいる人口には深い相関関係がある」とし、「希望する水準の仕事が少ない時、非経済活動人口の青年層が増える」と語った。そして「雇用政策そのものは対症療法なので、根本的な原因を解決しうる経済・産業政策が共に推進されてこそ、より大きな効果が得られる」と補足した。