本文に移動

WP「韓国がウクライナに与えた砲弾、欧州全体の支援量より多い」

登録:2023-12-05 20:02 修正:2023-12-06 07:12
「殺傷兵器支援はない」との尹政権の公式立場に背馳
ウクライナ軍兵士が先月8日、ドネツク戦線でロシア軍陣営に向けて迫撃砲を発射している/ロイター・聯合ニュース

 韓国政府は表向きにはウクライナに殺傷兵器を支援しないという立場を維持しているが、韓国が米国を通じて「迂回支援」した砲弾の規模は、欧州全体が支援した物量の合計より多いと米国メディアが報道した。

 米ワシントン・ポスト紙は4日(現地時間)、昨年2月末以降1年10カ月にわたり続いているウクライナ戦争の状況を点検する特集記事で、「韓国は究極的に欧州諸国全体の合計よりも多くの砲弾をウクライナに供給した」と報じた。

 同紙によると、戦争が長期化するにつれ、ウクライナ軍が必要とする兵器と弾薬を適時に供給することが米国など西側諸国の主要課題として浮上した。2月3日、ホワイトハウスのジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)主宰で開かれた対応会議で浮上した問題は、ウクライナがロシアの防衛線を突破するのに必ず必要な155ミリ砲弾だった。

 ホワイトハウスは、ウクライナが望む軍事的目的を達成するためには月9万発以上の砲弾が必要と計算したが、米国が増産しても必要量の10分の1程度しか供給できなかった。米軍がすでに保有している155ミリ砲弾を追加する方法もあったが、ロイド・オースティン国防長官はそれについて、国際的禁止対象となっている砲弾一発に小さな爆弾数十個が入ったクラスター弾であるとして供給に反対した。

 結局、サリバン補佐官は米国が提供した砲弾を多く保有している韓国に支援を求める計画を立てた。米国防総省の計算によると、韓国はその気になれば保有する155ミリ砲弾33万発を41日以内にウクライナに供給できた。ただ、韓国には戦争地域に対する殺傷兵器の供給を制限する法律があるということが問題だった。米国高官らは、ウクライナに直接韓国が砲弾を供給しない「間接的方式」であれば米国の提案を受け入れる意思を明らかにした韓国政府と具体的な方法を議論した。

 こうした過程を経て「今年初めから砲弾供給が始まり、結果的に韓国は全欧州諸国の合計より多くの砲弾をウクライナに提供した」とワシントン・ポストは伝えた。ただ、同紙は韓国が送った砲弾がウクライナに直接提供されたのか、米国を経由したのか、米国が自国保有分をウクライナに送り、韓国が提供したもので在庫を満たしたのか、など具体的な内容については言及しなかった。

 このような内容は、今年4月に米マサチューセッツ州防衛軍空軍所属のジャック・テセイラ一等兵(21)を通じて流出した米国防総省の「盗聴文書」を通じてある程度公開されている。当時の文書を見ると、当時韓国大統領室のキム・ソンハン国家安保室長らは2月末頃、砲弾33万発をポーランドを通じて迂回支援する案を議論したという内容が出ている。

 キム元室長は「ウクライナに弾薬を早く供給することが米国の究極的目標」だとし、ウクライナと国境を接するポーランドに砲弾を販売する案を提示した。この直後、韓国メディアも韓国が米国に最大50万発の砲弾を貸与することで合意したと報じた。さらにウォール・ストリート・ジャーナルは5月、「韓国がウクライナ向けの砲弾数十万発を移送中であり、これは殺傷兵器を支援しないという韓国政府の政策が変わったものだ」と伝えた。

 しかし、韓国政府は今のところウクライナに殺傷兵器を支援しないという立場を維持している。韓国政府は、米国に砲弾を輸出しても、最終使用者は米国という条件をつけると明らかにした。韓国のチョ・テヨン国家安保室長は5月、国会運営委員会に出席し「ウクライナに直接支援するものではない。ポーランドを通じて迂回支援するということも事実ではない」と明らかにした。ただし今後は砲弾を支援するのかという質問に「戦況を見て他の状況を考慮して今後検討する予定」とだけ答えた。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1119119.html韓国語原文入力:2023-12-05 18:10
訳J.S

関連記事