韓国政府が来年度の外国人労働者支援センターの予算を全額削減したことを受け、韓国と雇用許可制協定を結んでいるアジア諸国が、韓国政府にセンター閉鎖に対する懸念を伝える公式文書を送ったことが確認された。
29日のハンギョレの取材を総合すると、雇用労働部は9月末、韓国と非専門就業(E-9)ビザ協定を締結したアジア諸国から、外国人労働者支援センターの予算削減に関する書簡を受け取った。韓国政府が国会に予算の全額削減案を提出してから2週間ほどが経過した頃だ。雇用労働部の関係者は「アジア8カ国の大使館が、支援センターの予算削減の話を聞き、書簡を送ってきた」としたうえで、「懸念の表明というよりは、『説明を聞きたい』という内容だった」と述べた。その文書には、支援センター閉鎖の理由、他の代案はあるのかに対する質問などが含まれていたという。
しかし、書簡を送ったあるアジアの国の大使館関係者は、「懸念を示したものだというのが正しい」と述べた。支援センター閉鎖についての話を聞き、韓国と非専門就業ビザ協定を結んだアジア16カ国の大使館の労務官が集まって議論した結果、「問題がある」という結論を出したということだ。韓国と非専門就業ビザ協定を結んだ国は、ネパール、東ティモール、ラオス、モンゴル、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナム、スリランカ、ウズベキスタン、インドネシア、中国、カンボジア、キルギスタン、タイ、パキスタン、フィリピンだ。このうち、韓国政府に直接公文書を送ることにまで同意した国家は8カ国だった。
外国の大使館が駐在国の政府の予算案に対して集団で意見を示すことは異例なことだ。国の名前が出てくることを望まない韓国駐在のあるアジアの国の大使館関係者は、「私たちが公式に韓国政府の政策について文書を送ることは非常にまれなこと」だとしたうえで、「それほど、支援センターがなくなる可能性があるという問題に対する心配が強かった」と述べた。「単純な質問」だったとする雇用労働部の立場に対しては「理解できない。私たちははっきりと反対意見を入れた」とした。
外国人労働者の規模は増やすのに支援をなくす韓国政府の移住民政策に対する不安も強かった。これに先立ち、韓国政府は27日、来年の雇用許可制の外国人材導入の規模を、今年より4万5000人増の16万5000人に確定した。非専門就業ビザの発行対象も外食産業にまで拡大した。また、別の韓国駐在のあるアジアの国の大使館関係者は、「韓国に来る労働者の数は増え続けるはずなのに、相談の需要をどのようして負担しようとしているのか分からない。韓国政府は予算がないと言うが、たんに支援する気がないのではないかと疑っている」と述べた。韓国政府が削減した全国40カ所あまりの外国人労働者支援センターの予算は、2023年時点で71億800万ウォン(約8億1000万円)だった。
移住労働者を「安く使う労働力」程度にしかみない韓国政府の態度に、国内外のアジア人の世論が悪化しているという指摘も出ている。タイのバンコクで公務員として働くノイさん(44)はハンギョレに、「タイ人のほとんどは合法的に働きに行き、韓国の劣悪な労働環境のために不法になる。最近、ユーチューブで韓国の警察がタイ人を暴力的に扱う様子が取り上げられ、国民感情はあまりよくない」と語った。ベトナムのハノイの韓国系企業で働いていたホン・ニュンさん(28)は「最近のベトナムの人たちは、韓国で働くのを好まない。仕事をする環境がはるかにいい日本になんとかして行こうとする」と述べた。