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希望抱かせた「バラ色の予測」…尹大統領、万博誘致失敗に「申し訳ない」

登録:2023-11-30 06:31 修正:2023-11-30 06:54
サウジアラビアのリヤド119票、釜山29票 
脱落から10時間後に国民に謝罪 
「大逆転」を過度に楽観視…外交力めぐる批判高まる
尹錫悦大統領が29日、ソウル龍山の大統領室庁舎で、「2030世界博覧会釜山誘致失敗」と関連し、国民向け談話を発表している/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は29日、2030年世界博覧会(万博)の釜山(プサン)誘致失敗について「万博誘致の指揮を執り責任を負う大統領として、釜山市民をはじめ国民の皆様を失望させたことについて、誠に申し訳ない」と謝罪した。「全ては私が至らなかったためだと思ってほしい」とも述べた。しかし、119票(サウジアラビア・リヤド)対29票(釜山)という大差を付けられ脱落したことをめぐり、韓国政府のずさんな外交・情報能力が露呈したという批判が高まっている。

 尹大統領は同日正午頃、ソウル龍山(ヨンサン)大統領室のブリーフィングルームで、「2030万博と関連し、国民に申し上げる言葉」を発表し、「釜山市民だけでなく、全国民の熱望を込めて官民合同で汎政府的に2030年万博の釜山誘致を進めたが、失敗した」としてこのように語った。同日午前1時22分頃、フランスのパリで行われた博覧会国際事務局(BIE)総会での投票の結果、釜山が決選投票にも持ち込めず、リヤドに敗北を喫したというニュースが伝えられてから約10時間後に「速やかに謝罪」したのだ。

 同日のBIE総会の投票で、リヤドは釜山に90票差を付け、1回目の投票で開催地に選ばれた。3位のイタリアのローマは17票にとどまった。「リヤドと決選投票に持ち込めれば逆転も可能だ」という韓国政府側の説明とはかけ離れた結果だ。楽観的すぎる結果を予想していた政府の情報力と外交力に対する批判が予想される状況だ。

 尹大統領も同日の国民向け談話で、「96カ国の首脳と150回余り会い、数十カ国の首脳とは直接電話会談も行った」とし、「それでも私たちが官民で接触する際に感じた立場に対する予測が大きく外れた」と述べた。尹大統領は「うまく指揮し誘致に導くことができなかったのは、大統領である私の至らなさが招いた結果だ」と重ねてお詫びした。

尹錫悦大統領が29日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で2030年世界博覧会の釜山誘致失敗について立場を明らかにしている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 そもそも「オイルマネー」を前面に掲げたサウジアラビアの攻勢に比べ、韓国の資本力が不足し、投票1年4カ月前の昨年7月にようやく首相室傘下に誘致委員会が構成されるなど、準備が遅れたことを懸念する声もあった。しかし、尹統領が6月、フランスのパリで開かれたBIE総会で直接プレゼンテーションに乗り出し、期待感を高めた。尹大統領は今年9月、インドネシア(東南アジア諸国連合関連首脳会議)、インド(主要20カ国・地域会議)、米国(国連総会)を相次いで訪れ、約60回の2国間会談を行った。当時、大統領室関係者は「1カ月以内に最も多くの首脳会談を行った大統領としてギネス世界記録を申請する考え」だと語った。尹大統領は今月も米国(アジア太平洋経済協力会議)、英国(国賓訪問)、フランス(BIE行事)を訪問し、積極的に誘致戦に臨んだ。尹大統領自らが「最高司令官」を標榜したことで、万博誘致は国家最大の課題に格上げされ、失敗した際の尹大統領の政治的負担もそれだけ大きくなった。

 投入された予算と努力も莫大だった。韓国政府は今年の予算のうち、万博誘致のための支持交渉活動、海外協力事業、社会間接資本(SOC)事業に3228億ウォン(約370億円)を配分した。昨年(2516億ウォン)より28.3%増額された金額だ。尹大統領とハン・ドクス首相ら国務委員、民間誘致委員長のチェ・テウォンSK会長ら企業関係者が誘致委員会の発足後、509日間にわたり移動した距離は1989万1579キロで、地球495周だと首相室が明らかにした。政府は最後まで「大逆転」への期待を示したが、結果的には現実とかけ離れた「ただの希望」に過ぎなかったことが明らかになった。官民合同の情報力と外交力がまともに発揮されたのかという疑念を抱かせる。

 与党関係者はハンギョレに「加盟国と日常的に接触している外交部は投票結果を保守的に予測した一方、万博誘致だけのために構成された大統領室未来戦略企画官室の報告は肯定的だったと聞いている」とし、冷静な分析が行われなかったことを示唆した。ウィ・ソンラク元駐ロシア大使は「なぜここまで期待感を大きく高めたのか理解できない」とし、「在外公館が神経網のようにある外交部の状況分析を大統領室がもう少し信じて積極的に活用すべきだったのではないかと思う」と語った。

 野党議員らは万博誘致を理由に頻繁に外遊していた尹大統領の外交行動を総体的に問題視した。韓米日密着に全賭けしたあまり、1国1票方式で行われるイベントに参戦しながらも、全体的な状況を見ることに失敗したという指摘だ。共に民主党のウ・ウォンシク議員はソーシャルメディアへの投稿で、「状況予測が全くできなかったとすれば、極めて無能」だとし、「内実のない、ギネス世界記録として認められそうな外遊回数を自慢した惨憺たる結果」だと批判した。同党のキム・ドゥグァン議員は「現実には目を閉じた『裸の王様』の耳に都合のいい情報だけが上がっている。現在の外交政策では国際関係を解決することができない」と指摘した。

 一方、与党「国民の力」のキム・ギヒョン代表はフェイスブックへの投稿で、「今回の誘致戦で得た外交的経験は、今後大韓民国がグローバル中枢国家として役割を果たしていく上で、大きな滋養分になるだろう」という書き込みを残した。

キム・ミナ、イ・ウヨン、ソン・ダムン、シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1118454.html韓国語原文入力:2023-11-30 01:29
訳H.J

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