キム・ヒョスン元ハンギョレ編集人の著作『私は日本軍、人民軍、国軍だった』(2009)を日本語訳した『朝鮮人シベリア抑留』(渡辺直紀訳、東京外国語大学出版会、2023)が、14日に第9回「シベリア抑留記録・文化賞」授賞作に選定された。
シベリア抑留者支援・記録センターは2015年から、第2次世界大戦での日本の敗戦後に満州などでソ連軍の捕虜となり、シベリアで強制労働に苦しめられた、いわゆる「シベリア抑留」問題(捕虜はほとんどが日本人兵士だったが一部朝鮮人が含まれていた)についての記録の中から優れた作品を選び、この賞を授与してきた。日本人以外でこの賞を受賞するのは、キム元編集人が初。
キム元編集人の著書は朝鮮人のシベリア抑留問題を初めて真正面から扱った作品で、韓国での出版直後にも反響を呼んだ。原書のタイトルは、日帝による徴兵で連れて行かれた朝鮮の若者たちがソ連軍の捕虜としてシベリアで様々な苦難を経験し、その後、かろうじて帰ってきた祖国でまたも二重、三重の苦しみに直面した現実を圧縮して表現したもの。