韓国政府が6日から来年上半期まで空売りを一時的に全面禁止することを明らかにした。来年の総選挙を控え、「金浦市(キンポシ)のソウル編入」に続き、個人投資家の支持獲得に向けた「空売り禁止」を打ち出して与党と政府が問題を主導しようとするかたちだ。
金融委員会は5日、報道資料で「高金利やイスラエルとハマスの武力紛争などにより、対外依存度の高い韓国経済の不確実性が高まっているため先制対応する必要性があり、違法な無借入の空売り行為が市場の公正な価格形成を阻害する恐れがある」とし、趣旨を明らかにした。金融委員会は、機関と個人の空売りの不公正問題の解消▽無借入の空売り防止策づくり▽国際投資銀行(IB)の全数調査などを行うと発表した。
「空売り」とは、特定銘柄の株価下落が予想されるとき、他人の株を借りて売り、その株の価格が下落したとき株を買って返す手法で差益を得る投資方式だ。先月、BNPパリバやHSBCなどの国際投資銀行が、株式を借りることなく数百億ウォン台の違法な空売りを行った事実が金融監督院に摘発され、一般の零細投資家を中心に、空売りを全面禁止すべきだという主張が提起された。
政府の今回の決定は、来年の総選挙を控え、個人投資家の要求を意識したものとみられる。与党「国民の力」と政府、大統領室はこの日午後、ソウル鍾路区三清洞(チョンノグ・サムチョンドン)にある首相公館で開いた非公開の高位党政協議会で、空売り制限問題を議論したという。「国民の力」のユ・ウィドン政策委員会議長は「党は政府に、空売りに関して指摘された制度的な問題点を改善するよう強く求めた」と述べた。