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「戦時下では裁判なしで殺せる」韓国真実和解委員長の発言、国政監査で再確認

登録:2023-10-14 08:12 修正:2023-10-14 08:49
13日の国政監査の場で再び発言…16日からは検察・警察を動員して内部監査
真実和解委員会のキム・グァンドン委員長が13日午前、国会で開かれた行政安全委員会の国政監査で、イ・サンフン常任委員(左後)とキム・オクナム常任委員(右後)と共に宣誓している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「戦時下では裁判なしで人を殺すことができる」。朝鮮戦争時の民間人犠牲者の遺族との面談でこのように発言した「真実・和解のための過去事整理委員会」(真実和解委員会)のキム・グァンドン委員長が、国会の国政監査の場でも同じ趣旨の話を繰り返した。

 キム・グァンドン委員長は13日午後、国会の行政安全委員会の国政監査で、イ・ソンマン議員(無所属)が「この発言は事実か」と質問したところ、「そのような趣旨の発言をはっきりとした」と答えた。イ議員が「ならば、人が死ぬこともありえたので、被害者として認識する必要はないという意味か」と重ねて質問すると、「そうではない。敵対勢力に加担して放火や殺人を犯した加害者に対しては、当時の状況では即決処分が可能だった」と答えた。事実と異なる発言とともに、「反逆容疑者は殺すことができる」というニュアンスを加えることで、民間人犠牲者とは区別するかたちを取った。

 イ・ソンマン議員は「それは委員長が判断する問題ではなく、十分な調査と客観的な検証を通じて判断しなければならない問題ではないのか」と問い詰めると、キム委員長は「総合して検討している」という原則的な返答だけをした。イ議員はキム委員長に「委員長として言葉に気を付けてほしい。偽りと分裂の委員長なのか」として、「(民間人犠牲者に)補償する必要がないと考えるのであれば、今すぐ辞めるべき」と述べた。

 キム委員長の発言は、朝鮮戦争時の国民保導連盟員および予備検束者と反逆容疑者の処刑に対して、これまで真実和解委員会が「戦時だったとはいえ、自明の犯罪行為だった」とした結論を正面からひっくり返すものであり、大韓民国憲法が定めた価値はもちろん、当時の戒厳法に違反した不法行為を露骨に擁護する行為だ。「即決処分が可能だ」と述べたが、当時は軍隊内の即決処分でさえ不法だった。国会に出てきてはばからず嘘を述べたということだ。

 最高裁判事出身のある法曹界の要人は「そのように言うのであれば、戦時裁判や国際法はなぜ存在するのか。法は必要なく、政権だけが必要だということか。論評する価値もない」と述べた。真実和解委員会のある関係者は同様に、「キム委員長は、もう自身の発言で攻撃されることについてはまったく気にしないことにしたようだ」と述べた。

 キム・グァンドン委員長が検察と警察の人材を動員して内部監査を準備中である事実も、国政監査で俎上に載せられた。イ・ソンマン議員は「上級機関である行政安全部の監査室に要請して受ければいい監査を、検察と警察の派遣を受けて計画中だったことには、何の意図があるのか」と追及した。さらに、「なぜ、監査計画書もなく、外部の人材を動員して監査を推進するのか。しかもなぜ国政監査の期間にするのか」とも尋ねた。キム委員長は「2年に1回実施する定期監査にすぎない」と答えた。

 真実和解委員会は、実際に16日から検察2人と警察2人の派遣を受けて内部監査を実施する。真実和解委員会は13日、内部公示を通じて「(6階)中会議室を12月22日まで監査の場として使用する」と明らかにした。内部でも、検察と警察を動員した監査に当惑する反応をみせている。真実和解委員会のある調査官は「監査と捜査は違う。捜査はなんらかの疑惑が生じた場合に行うものだ。内部規律を捜査の方式で取り締まり、調査官をはじめとする職員を萎縮させるという宣言」だと評した。

コ・ギョンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1112054.html韓国語原文入力:2023-10-13 19:39
訳M.S

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