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韓国の真実和解委員長、光州事件での北朝鮮軍介入説「可能性ある」と主張

登録:2022-12-13 04:09 修正:2022-12-13 09:18
「ニューライト」との批判受ける真実和解委のキム・グァンドン新委員長 
「5・18北朝鮮軍介入説」は「可能性あり」 
キム委員長「ヘリコプター射撃を認めるかどうかと評価は関係ない」 
5月団体「キム委員長は謝罪し任命撤回せよ」
第2期真実・和解のための過去事整理委員会のキム・グァンドン新委員長=真実和解委提供//ハンギョレ新聞社

 12日に就任式を行い、公式に業務を開始した第2期真実・和解のための過去事整理委員会(真実和解委)のキム・グァンドン新委員長が、過去の論文で「5・18(光州民主化運動での)ヘリコプター射撃は虚偽」と主張するなど、不適切な歴史認識を表明していたことが確認され、批判が予想される。

 キム委員長が2020年10月に韓国ハイエクソサエティ(現「市場経済学会」)の秋の政策シンポジウムで発表した「歴史認識問題に対する国家のファシズム的統制」と題する論文を確認すると、キム委員長は、2020年に国会に上程された歴史歪曲禁止法は「歴史をひとつの方向へと意図的に歪曲し、権力の暴力によって別の見解を持つ者を処罰することを目的」としているとし、「ファシズム的」だと強く批判している。

 問題は、その例として過去数回にわたり国家機関の調査などを通じて事実であることが明らかになった「5・18ヘリコプター射撃」が虚偽だとキム委員長が主張しているということだ。キム委員長は同論文で「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は何度も、5・18光州民主化の時期にヘリコプターから機関銃による射撃が行われたと主張してきた。それは大統領が明白な虚偽を公に広めた行為」だと主張している。しかし、2018年には国防部5・18特別調査委員会が、5カ月間の調査の末に「5・18民主化運動期間中の戒厳軍によるヘリコプター射撃は存在した」という調査結果を発表しており、2020年にも裁判所が2017年の国立科学捜査研究院の鑑定結果などをもとに「ヘリコプターが射撃を行ったと認められる」との判決を下している。

 またキム委員長は、「5・18北朝鮮軍介入説」についても「可能性がある」と述べている。キム委員長は「光州事件に北朝鮮が介入したという可能性ある疑惑については、歴史歪曲や関係者に対する名誉毀損で処罰対象になる」と記している。北朝鮮軍介入説の提起が処罰対象になることを遠回しに批判したのだ。

 しかし、5・18真相究明調査委員会が2月17日に公開した「2021年下半期調査活動報告書」によれば、国情院は2006~2015年に北朝鮮軍介入説を独自に調査し、事実無根で虚偽だとの結論を下している。

 キム委員長はこの日、本紙にショートメッセージを送り、その中で「ヘリ射撃が事実かどうかについては真相が究明されておらず、調査中だと認識している。ヘリ射撃を認めるかどうかを評価の物差しと考えたり、批判対象としたりすることそのものが不適切だと判断する」とし、「真実和解委は5・18事件を扱わないため、関連問題を評価したりさらに言及したりすべき事案ではない」と述べた。

 5・18諸団体はキム委員長の謝罪と任命の撤回を要求した。5・18民主化運動負傷者会などの5・18関連4団体はこの日、声明を発表し、その中で「大統領が『真実』と『和解』のための国家委員会の首長に5・18の真実を歪曲する人物を内定(任命)したことは、5・18精神を通じた国民統合の可能性を自ら破棄するもの」だとし「キム委員長の心からの謝罪と、真の歴史の究明のために5・18の真実を歪曲する人物の内定撤回を求める」と述べた。

 キム委員長の偏った歴史意識については、真実和解委の内部からも憂慮する声があがっている。真実和解委のある関係者は「予断はしがたいが、キム委員長の偏向性は憂慮されるし、上程された歴史案件の議論の流れを委員長がどのように引っ張っていくか分からない」と述べた。

 9日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領によって任命され、12日に公式に業務を開始したキム委員長は、就任式で「成功の大韓民国の歴史が歩んできた裏道に残された影に再度照明をあて、誤った不正義を正すことで和解の大韓民国を作るという方向性をもって、真相究明をやり遂げるという使命を果たす」とし、「たった一つの無念な被害も真実究明なく残されることのないように、たった一つの真実の歪曲も発生しないように、調査業務に忠実に臨む」と述べた。キム委員長の任期は2024年12月9日までの2年間。

コ・ビョンチャン、チャン・イェジ、クァク・チンサン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1071255.html韓国語原文入力:2022-12-12 17:04
訳D.K

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