ユネスコ世界遺産委員会は、日帝強占期(日本による植民地時代)に朝鮮人を強制動員した現場である端島(通称・軍艦島)などの日本の近代産業施設の世界遺産登録の後続措置として、日本に対し関係国と対話し、歴史をきちんと伝えるという従来の約束を履行するよう促す決議をあげた。ただし同委員会は、軍艦島などに関して過去に比べ批判的な内容が大幅に縮小された報告書を採択した。
韓国外交部が15日発表した資料によると、世界遺産委員会は14日(現地時間)、サウジアラビアのリヤドで開かれた第45回世界遺産委員会で、日本の近代産業施設の世界遺産登録に関する後続措置について、関係国と対話するよう促す内容を取り入れた決議をあげた。日本の近代産業施設の世界遺産(「明治日本の産業革命遺産」)とは、2015年にユネスコ世界遺産に登録された、軍艦島をはじめとする日本国内8県にある明治時代の鉄鋼・造船・炭鉱産業の現場だ。
今回の決議は、2年前に採択された内容とはかなりの差がある。世界遺産委員会は2年前、朝鮮人強制動員に対する説明不足などを指摘し、異例にも日本に「強い遺憾」を示す決議をあげた。日本政府は2015年、朝鮮人強制動員を含む「歴史全体」を伝えていくと約束し、この約束に基づき2020年に産業遺産情報センターを設置した。ところが、強制動員犠牲者を追悼するはずの情報センターを遺産の現場から離れた東京都新宿区に作るなど、約束を履行する努力を疎かにし、世界遺産委員会はこれを指摘したのだ。
一方、世界遺産委員会は今回の決議で、日本が新たな措置を履行したと評価した。産業遺産情報センターの展示内容が一部変更された点に言及し、朝鮮人労働者を含めた情報が提供されていると判断。世界遺産委は、日本が約束を継続して履行することが重要であり、関係当事国(韓国)と対話するよう促した。さらに、これらの事項に関する進展状況を世界遺産センターおよび諮問機関が点検できるよう、2024年12月1日までに報告書を提出するよう日本に要請した。
これに対し、強制労働の被害者と遺族たちは「日本政府は強制労働の歴史を隠し、被害者が日本の近代化を『支えた』と歴史を歪曲している。欺まんの行動に激しい侮辱と怒りを感じる」と述べた。