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尹大統領、米日偏重外交への懸念に「共産勢力が扇動」

登録:2023-09-02 06:37 修正:2023-09-02 07:38
国立外交院を訪れ、再び理念攻勢 
「反国家勢力、反日感情を扇動し、米日協力のリスクを糊塗」
尹錫悦大統領が1日、ソウル瑞草区の国立外交院で開かれた国立外交院60周年記念式典で祝辞を述べている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が1日、「共産全体主義勢力とその日和見主義的追従勢力、そして反国家勢力が反日感情を扇動し、キャンプデービッドから導き出された韓米日協力体系が大韓民国と国民を危険に陥れるかのように糊塗している」と述べた。米日偏重外交を懸念する市民や批判勢力を荒々しく非難したのだ。

 尹大統領は同日、ソウル瑞草区(ソチョグ)の国立外交院で開かれた外交院60周年記念式典の祝辞で、「今、我々の自由は絶えず脅かされている」とし、このように語った。世論を反映せず米日偏重外交を進める政府に対する批判の背後には共産全体主義勢力や反国家勢力があると罵倒したのだ。日本政府の福島第一原発の汚染水放出に対する政府対策を批判する勢力にも敵対感を示したものとみられる。

 尹大統領は、米国と日本中心の外交を強化すべきだという考えも示した。尹大統領は「私たちは自由、人権、法治の普遍的価値を共有する国、そしてルールに基づいた国際秩序を尊重する国と共に安保と経済、情報と先端技術の協力ネットワークを強固に構築しなければならない」としたうえで、「外交路線の曖昧さは価値と哲学の不在を意味する。相手に予測可能性を与えることができない外交では、信頼も国益も決して得られないだろう」と述べた。

 尹大統領のこのような言及は、中国とロシアに対して敵対的な態度を取らず、戦略的な曖昧性を維持しながら国益の確保を目指してきた歴代政権の外交政策に対する批判といえる。同時に今後の韓米日協力を強化する政策を引き続き進める意向を示したものとみられる。

尹錫悦大統領が1日、ソウル瑞草区の国立外交院で開かれた国立外交院60周年記念式典にパク・チン外交部長官、パク・チョルヒ国立外交院長とともに入場している/聯合ニュース

 大統領室関係者はハンギョレに「共産全体主義国家と隣り合っている唯一の国として、一日たりとも安心できないというのが尹大統領の考え」だとし、「価値観の確立について引き続きメッセージを出していく予定だ。これは分裂を図るのではなく、理念を正すためだ」と語った。

 しかし、専門家たちは尹大統領の「わが道」への疾走が危険だと指摘した。漢陽大学国際大学院のムン・フンホ教授は、「日本の汚染水や歴史問題、対米・対日政策を批判する人をすべて共産主義者に扇動されたと認識すること自体が懸念すべきことだ」とし、「外交の象徴は柔軟性だが、大統領が異なる意見を持つ人々を排斥し、理念を強調する形で外交議題を取り上げると、外交は国内政治化されるだけで実用的な外交政策を立てることが難しくなる」と語った。ホン・ヒョンイク元国立外交院長も、「尹大統領が外交モデルとしている米国も国益に関しては実用的な外交を展開する。米国の国力に及ばない韓国があまりにもはっきりとした外交を掲げるのは最善策ではない。同盟の信頼を深めながら、韓国にとって有害な要素を管理し最小化するのが最善の外交といえる」と話した。

 尹大統領は同日、新任外交官候補者38人とタウンホールミーティングを行った。

ペ・ジヒョン、チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1106806.html韓国語原文入力:2023-09-02 01:01
訳H.J

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