韓国ではこのところ気温と湿度が共に高い「湿気を帯びた猛暑」が続いている。高い湿度は体感温度を引き上げるだけでなく、汗を蒸発させて熱を冷ます作用も難しくするため、熱中症(体温調節機能の喪失)をはじめとする熱による疾患の危険性もより高まる。疾病管理庁は熱中症を予防するため、暑い時間帯には活動をできるだけ自制するほか、喉の渇きを感じない程度に水を規則的に摂取するよう勧告している。
気象庁は1日、しばらく高い気温と湿度が続くため、全国のほとんどの地域で一日の最高体感温度が35度前後になると予報した。この日、ソウル地域の体感温度が34.4度まで上がった午後1時30分の気温は33.9度、湿度は60%だった。同じ時刻、日中の湿度は、仁川(インチョン)64%、京畿道坡州(パジュ)68%、江原道鉄原(チョルウォン)66%、大田(テジョン)56%、釜山(プサン)57%など60%前後のところが多かった。気象庁のウ・ジンギュ通報官は「普通、韓国の日中の湿度は40~50%で、夏はそれより高いが、このところ水蒸気が多く供給されているため湿度がより高まっている」とし「韓国を覆っている北太平洋高気圧が湿った性質を持っており、それに加えて北西に進んでいる台風6号『カーヌン』が水蒸気を供給しているため」と説明した。
世界気象機関(WMO)は猛暑を、気温と湿度が共に高い「湿った猛暑」と、乾燥した中で太陽熱が降り注ぐ「乾燥した猛暑」とに分けている。昨年、釜山大学のハ・ギョンジャ教授(大気環境科学)の研究チームは、国際学術誌「climate and atmospheric science(気候と大気科学)」に掲載した論文で、湿度33%以下の猛暑を乾燥した猛暑、湿度66%以上の猛暑を湿った猛暑と定義した。この論文によると、朝鮮半島は湿った猛暑がよく発生する地域だ。特に、人が感じる熱ストレスの指数は乾燥した猛暑より湿った猛暑でより高い。このような湿った猛暑は今後さらに頻繁に発生し、持続時間も長くなると予測される。ハ・ギョンジャ教授は、この日のハンギョレの電話取材に対し「海面の温度が上がるほど海からの水蒸気が増えるため、韓国のように海に囲まれた国では湿った猛暑がより頻繁に発生する可能性がある」と語った。
医療関係者は、湿った猛暑は乾燥した猛暑より健康に害を及ぼす可能性が高いとの見解を示す。人体から発生する熱は汗が蒸発する際に奪われるが、湿度が高ければそれがうまく機能しない可能性があるからだ。ソウル大学病院家庭医学科のパク・ミンソン教授は「汗をかいて気化(液体が気体になる現象)する過程で熱が奪われるが、湿気が多いとこの過程がうまく機能しないため、乾燥している時よりも体温調節が難しい可能性がある」、「湿気が多いと呼吸もしづらくなるため、熱中症につながりやすい」と説明した。
一方、1日に疾病管理庁の熱中症監視システムを確認したところ、504の医療機関が参加する標本調査が始まった5月20日から先月31日までに集計された熱中症患者の数は1191人、死者は13人に達する。死亡例の76.9%(10人)は7月28~30日の3日間に集中している。