「トランプ関税」の交渉期限（8日、現地時間）を目前にして、ウィ・ソンラク大統領室国家安保室長が急いで米国に向かった。関税や国防予算、首脳会談日程の調整など韓米間の主要懸案について米国と意見を交わす見通しだが、依然として立場の違いが大きい問題が多く、明確な成果を期待することは難しいとみられる。韓米同盟の未来像に対する韓国なりの確固たる「方向性」なしに妥協を急げば、将来さらに大きな失敗が待ち受けているかもしれない。時間がかかっても、韓米双方が同意できる安定的な協力の基盤を模索しなければならない。
ウィ室長は6日、米国に出国する直前に仁川（インチョン）空港で記者団に「これまで韓米間で通商と安保関連のさまざまな懸案が協議されてきた」としたうえで、「協議の局面が重要な状況に入っており、関与を増やすために訪米することになった。ひとまず私のカウンターパートとの面談を『推進』している」と述べた。関税交渉がまもなく終わる「重要な状況」を迎え、ホワイトハウスのマルコ・ルビオ国家安保補佐官兼国務長官との面談日程が決まってもいない状態で急いで訪米決断を下したものとみられる。
しかし、目の前の懸案は、1、2回の会談では解決策を見出せない難題ばかりだ。 関税交渉は依然として「双方が正確に何を望んでいるのか整理されていない状態」（3日、李在明大統領）であり、国防予算増額も北大西洋条約機構（NATO）のように国内総生産（GDP）の5%まで増やすとは言えない状況だ。韓米同盟の「再調整」（在韓米軍削減案を含む）問題は、米国の正確な立場が何なのか把握すらできていない。韓米首脳が会って両国間の「共通のビジョン」に合意するには、このような問題をめぐる隔たりを埋めなけれならない。そうしてこそ、同盟の未来ビジョンを盛り込んだ共同声明を作成することができる。
他山の石とすべきなのは日本の先例だ。石破茂首相は2月7日の米日首脳会談で、対米投資1兆ドル▽対米液化天然ガス（LNG）の輸入拡大などのカードを次々と取り出した。これを通じて「トランプ関税」の波を越えられると期待されていたが、返ってきたのは「甘やかされてきた日本」に30～35%の関税を課すという脅しだった。
ドナルド・トランプ大統領は4日（現地時間）にも「12カ国に対する関税を定めた書簡に署名した。月曜日（7日）に送付する」と脅し続けた。しかし、期限に追われて韓国の主な利益を手放した後、追加交渉を通じてこれを回復することは不可能だ。少しでも油断すると、不幸な結果になる恐れがあることを肝に銘じなければならない。
訳H.J
