慶尚北道栄州市(ヨンジュシ)の河川でワニと推定される生物を見たという通報があり、同市は捜索に乗り出した。外来生物であるワニは、ペットとして飼育されるケースはあるが、韓国の自然生態系に流入しているという報告はまだない。
15日の栄州市の説明を総合すると、13日午後7時ごろ、4人のフィリピン人労働者らから通報が入った。栄州市文殊面(ムンスミョン)のムソム橋の上にいたところ、体長1メートルほどのワニを発見し、その後、ワニは水中に消えたという。
栄州市の関係者はこの日、ハンギョレの電話取材に対し、「通報内容があるだけで写真や映像がないため、まだワニだとは断定できない」としつつも「前日午後から(ワニを)発見したという一帯を捜索中」だと明らかにした。
この関係者は「本物のワニならペットとして飼育していた誰かが故意に捨てたか、あるいは自ら逃げ出した可能性がある。ワニが逃げ出した状況で飼い主が探しているなら最も良いが、生け捕りにしても飼い主が現れなければ安楽死となる。あるいは、動物園への委託なども当たっている」と付け加えた。
オンラインコミュニティーなどでは、このニュースに対し「栄州市民は当分は川辺に近づかないようにしないと」、「ペットとして飼っていたのを捨てたのではないか」などの反応が見られる。
「生物多様性の保全および利用に関する法律」は、外来生物を「外国から人為的、または自然に流入し、その本来の原産地または生息地を脱して存在することとなった生物」と定義している。国立生態院の「韓国外来生物情報システム」によると、6種のワニ(ナイルワニ、ニューギニアワニ、ミシシッピーワニ、イリエワニ、シャムワニ、アメリカワニ)が外来生物として登録されている。
外来生物の中でもヌートリアやカミツキガメのような生態系かく乱生物や、ピラニアなどの生態系危害憂慮生物を無断で遺棄すれば、2年以下の懲役または2000万ウォン(約220万円)以下の罰金に処されうる。ワニは生態系かく乱生物などに指定されていないため、遺棄しても処罰条項はない。ただし動物保護法は、所有者が飼っていた動物を遺棄すれば300万ウォン(約33万円)以下の罰金刑に処すとしている。
環境部は「観賞用などで所有している外来生物をむやみに生態系に放したり遺棄したりしないでほしい」と呼びかけている。