1945年8月6日、広島に原子爆弾を投下した米国に対し、責任を問う専門家たちの声が韓国で開かれた国際討論会場であがった。尹錫悦(ユン・ソクヨル) 大統領が先月、日本の広島を訪問し、韓国人原爆被害者たちに会って慰労したが、韓国では原爆を投下した米国の責任を問う声はあまり聞こえなかった。
翰林大学のイ・サムソン名誉教授(政治学)は7日、慶尚北道星州(ソンジュ)で開かれた「韓国原爆被害者を原告として米国の核兵器投下の責任を問う国際民衆法廷の第1回国際討論会」で、「多くの韓国人は、1945年8月の日本への原爆投下が正義に基づいた目標に寄与したことから、必要悪として正当化されうると考えている」と述べた。
イ教授は、「(原爆投下が)韓国の独立を早めて植民地支配による韓国人の苦しみを終わらせたという認識が韓国では広く根付いている」とし、「絶対多数の韓国人にとってそれ自体として正当な価値と認識されるこのような結果が、広島と長崎の非武装の民間人数十万人の死や、さらに数十万人の被爆者としての苦しい生活、韓国人5万人の犠牲や苦しみを相殺する道徳的根拠になりうるのか」と問いかけた。
イ教授は、広島と長崎の数十万の民間人の犠牲という巨大な反人道性を神様の贈り物や祝福と同一視する巨大な逆説をもとに、核保有主義(nuclearism)が誕生し、ロシアとウクライナを含むこんにちの世界、東アジア、その中でも特に朝鮮半島の分裂した両国と社会を苦しく締め付けていると主張した。核保有主義とは、核兵器を人類の持続可能な生存を脅かす怪物ではなく、巨悪を懲らしめて安全を守る平和の兵器とみなす考え方だ。
さらに「核兵器に依存し、さらには、核兵器の先制使用をノーマルな安保戦略の一つとして掲げる言説が圧倒的なものになりつつあるこの危険な現実に立ち向かう我々の取り組みにおいて、広島と長崎への原爆投下の反人道性に対する認識の共有は、不可欠で大切な出発点」だと語った。
同討論会に発題者として参加したブリュッセル自由大学のエリック・デビッド教授(国際公法)は、広島と長崎の原爆投下が1945年当時、民間人への攻撃▽不要な苦痛を引き起こすよう考案された兵器または物質の使用▽人道法と公共の良心に反する化学兵器および戦闘手段の使用を禁止する国際条約規則に違反したものだと主張した。デビッド教授は「1945年当時には戦時に核兵器そのものの使用を禁止する明示的表現が全くなかったことは非常に明確な事実だが、当時施行されていた条約国際法が広島と長崎の原爆投下に適用されないという意味ではない」と説明した。
国際討論会を開催した原爆国際民衆法廷実行委員会は、1945年に広島と長崎に原爆を投下した米国の責任を問う国際民衆法廷を2026年にニューヨークで開く予定だ。そのための準備過程として、今回を含め3回ほど国際討論会を開催する予定だ。