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尹政権、「自衛隊哨戒機の威嚇飛行」これ以上問題視しない方針

登録:2023-06-05 06:34 修正:2023-06-05 08:15
韓日防衛省会談で「再発防止に重点」
イ・ジョンソプ国防部長官が4日午前、シンガポールで開かれた第20回アジア安全保障会議を機に、日本の浜田靖一防衛相と2国間会談を行っている=韓国国防部提供//ハンギョレ新聞社

 韓国と日本が両国の国防懸案である「哨戒機問題(日本ではレーダー照射問題として知られる)」について、双方の意見の相違に触れず、再発防止対策を作ることにした。「過去(の歴史問題)を問わず未来に向けて進もう」という尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対日政策の延長線上で、北朝鮮の核・ミサイル脅威を前面に出して哨戒機問題の収拾を図ったのだ。

 イ・ジョンソプ国防部長官はシンガポールで開かれた第20回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)を機に、4日、日本の浜田靖一防衛相との会談後に開かれた記者団懇談会で、哨戒機問題について「(双方が)再発防止対策作りに重点を置き、実務協議から始めて解決していくことで合意した」と述べた。国防部も同日の両国会談後、報道資料を通じて「韓日防衛当局間の懸案について、再発防止策を含む協議を加速化させていくことで合意した」と発表した。国防部関係者は「哨戒機問題に対する韓日防衛当局の立場は現在も変わりがない」とし、「ひとまず両側の立場をそのままにして再発防止策を作ることで一致した」と説明した。

 2018年12月20日、東海(トンヘ)で遭難した北朝鮮の漁船を救助していた韓国海軍駆逐艦「広開土大王」に日本の海上自衛隊のP1哨戒機が接近した。哨戒機は敵の軍艦と潜水艦を攻撃する航空機。韓国は、日本の哨戒機が「広開土大王」に近接して威嚇飛行を行ったと主張した一方、日本は正常な飛行だと反論した。日本は韓国の駆逐艦が艦砲とミサイルの照準に使われる火器管制レーダーを照射したと主張した。これに対して韓国は、駆逐艦がレーダーを照射していないことを何度も確認したにもかかわらず、日本が事実確認もせず一方的に発表したと反駁した。

 軍事的にみると、哨戒機の近接威嚇飛行は韓国の駆逐艦に対する攻撃意思を表わした明白な敵対行為だ。文在寅(ムン・ジェイン) 政権は哨戒機問題について「日本は事実の歪曲をやめ、韓国の艦艇に対する威嚇飛行について謝罪すべき」という立場をつらぬいてきた。尹政権は文政権の外交安保政策を次々と覆してきたが、哨戒機問題については「従来の立場に変わりはない」と繰り返し確認した。この事案で主張を曲げれば、日本の敵対行為を黙過することになるためだ。

 両国が哨戒機問題の幕引きを図ることにした背景には、事実関係の確認が困難である点も働いた。真偽を確かめるためには、韓国駆逐艦の戦闘体系情報と日本哨戒機が探知したレーダー情報を明らかにする必要があるが、両国とも敏感な軍事情報を公開する意思はない。

 国防部は同日、「韓日首脳が、韓日関係正常化が軌道に乗ったことを確認し、両国関係をより高いレベルに発展させることで合意したことを受け、韓日防衛当局も安全保障をめぐる協力の増進のため、緊密に意思疎通していくことで合意した」と両国防衛相会談の結果について説明した。それと共に「北朝鮮の核・ミサイル脅威の抑止および対応に向け、韓日、韓米安保協力をさらに進展させ、韓日国防当局間の信頼を構築しながら様々なレベルにおける交流・協力の増進が重要だ」と強調した。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1094572.html韓国語原文入力:2023-06-05 02:41
訳H.J

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