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科学ロケット、羅老号、ヌリ号…「韓国の衛星」打ち上げるまでの30年

登録:2023-05-26 06:43 修正:2023-05-26 15:27
韓国の衛星搭載した「実戦打ち上げ」までの道のり
韓国独自の技術で開発された韓国型ロケット「ヌリ号」が25日午後、全羅南道高興郡の羅老宇宙センターから打ち上げられた=韓国航空宇宙研究院//ハンギョレ新聞社

 1回目の打ち上げに「失敗」、2度にわたる延期の末に2回目の打ち上げに「成功」、1度の延期を経て打ち上げ。韓国型ロケット「ヌリ号」が25日、張り詰めた緊張感の中で行われた3回目の宇宙飛行に成功した。1993年6月4日、韓国が打ち上げた初の宇宙ロケット「科学ロケット1号」が忠清南道泰安郡(テアングン)の安興(アンフン)試験場で空に舞い上がってから30年ぶりのことだ。

 2回目の打ち上げで「成功」を味わったが、「本物の衛星」8機を乗せて宇宙に向かう3回目の「実戦打ち上げ」は計画通りに順調には進まなかった。前日午後2時、ヌリ号打ち上げ管理委員会は最後の障害物とされていた「風」まで打ち上げ基準を満たしたと判断し、午後6時24分、予定通り打ち上げを行うと発表した。だが、1時間後、打ち上げ準備中に「低温ヘリウム供給バルブの制御過程で、打ち上げを制御するコンピューターと発射台設備を制御するコンピューター間の通信異常」が発生したことで、打ち上げにブレーキがかかった。

 打ち上げが延期されたのは今回が初めてではない。昨年ヌリ号の2回目の打ち上げの時も、打ち上げ予定日(6月15日)を翌日に控えて「強風」が吹き、打ち上げを1日延期した。それだけでなく、15日には酸化剤タンクの充電量を測定するレベルセンサーに異常が発生し、発射台に立てられたまま組立棟に戻った。2回目の打ち上げは予定より6日遅れた6月21日に行われ、性能検証衛星と衛星母体を目標軌道に安着させ、打ち上げに成功した。

 ヌリ号に先立って打ち上げられた「羅老(ナロ)号」の旅路も順調ではなかった。羅老号はロシアのアンガラ・ロケットを1段にした2段型の韓国型ロケット。2009年6月、全羅南道高興(コフン)に羅老宇宙センターが完工してから2カ月後、羅老号の打ち上げに挑んだが、フェアリングが分離されず、苦杯を喫した。1年後の2010年6月、2回目の打ち上げの時は1段ロケットが爆発した。羅老号の打ち上げに成功したのは、2013年1月の3回目の試みだった。

 ヌリ号の3回目の打ち上げまで、韓国の30年間の宇宙開発の旅程は順風満帆だったわけではない。科学技術情報通信部と航空宇宙研究院が完全な韓国独自の技術で作るロケット、ヌリ号の開発に乗り出したのは2010年からだった。すでに1997年に韓国の技術で科学ロケット2号が完成されたが、「韓米ミサイル指針」により、ロケットを宇宙に打ち上げるレベルまで飛行高度を高めることができず、開発が遅れたためだ。同指針は2021年になってようやく廃止された。2003年には30トン級の液体エンジンを作ったが、国内の試験場がなくロシアに持って行って燃焼試験を受けなければならなかった。この過程で爆発事故が発生し、部品が燃えたうえ、ロシアが遠征試験をこれ以上許可しない方針を示したため、ロケット開発に困難を強いられた。

 ヌリ号の打ち上げの意義は、韓国型ロケットの開発から打ち上げまで全過程を韓国が自ら作り上げた点にある。ヌリ号の1回目の打ち上げ失敗から2年後のこの日、ロケットを実際の任務に投入する3回目の打ち上げを通じて、韓国はロケットの商用打ち上げ市場への進出に向けた第一歩を踏み出した。

宇宙ロケット開発30年 //ハンギョレ新聞社
キ・ミンド記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1093411.html韓国語原文入力: 2023-05-26 02:42
訳H.J

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