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尹大統領、またもや日本に低姿勢「100年前のことで『ひざまずけ』、同意できない」

登録:2023-04-25 05:24 修正:2023-05-04 10:26
尹錫悦大統領が龍山(ヨンサン)大統領室でワシントン・ポスト紙とのインタビューに応じている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が韓米首脳会談(米国時間26日)を控え、「100年前のことで(日本に)『無条件にひざまずけ』と言うのは受け入れられない」と述べた。安倍晋三元日本首相の談話を連想させる発言で、過去の歴史問題には目をつぶり、韓日関係の改善を掲げ「未来」だけを強調する尹大統領の「低姿勢一方主義」の対日認識が再び明らかになった。

 尹大統領は米国国賓訪問を控えて行われたワシントン・ポスト紙とのインタビューで、「日本との協力を先送りするには韓国の安保状況があまりにも緊迫している」とし、このように述べたと、同紙が24日付で報じた。尹大統領はインタビューで「今、欧州では残酷な戦争を経験したにもかかわらず、未来のために戦争当事国が協力している」としたうえで、「100年前のことで『絶対だめだ』、『無条件にひざまずけ』と言うのは受け入れられない」と語った。また「これには決断が必要」だとし、「説得に関しては十分行ったと思っている」と発言した。

 日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者に日本戦犯企業ではなく韓国企業の財源をもとに賠償する政府の「第三者弁済」案を決めたことが自身の「決断」であり、これに反発する被害者と批判する国民に説得するため努力を尽くしたという意味とみられる。尹大統領は、日本の戦犯企業に強制動員被害者への賠償を命じた2018年の韓国最高裁(大法院)判決の趣旨を崩した「第三者弁済」案で、一方的に日本側の立場を受け入れる「屈辱外交」との批判を受けている。

 また、尹大統領は「価値観同盟」を掲げ、韓日関係の改善を強調した。尹大統領は「韓国憲法の自由民主主義という精神に照らしてみると、韓日関係の改善は必ず必要なこと」だとし、「この価値を共有する国家同士は過去の歴史問題であれ、懸案問題であれ、意思疎通を図って解決できる」と述べた。尹大統領は就任以後、韓米同盟の強化、韓日関係の正常化、韓米日協力の強化を対外政策の軸に米日への密着行動を続けており、これが自由民主主義や人権、法治主義などを共有する「価値観同盟」だと主張してきた。

 尹大統領は先月の三一節記念演説で、過去の歴史に関する要求や提案もなく、北朝鮮の核脅威とグローバルな複合危機への対処を取り上げ、日本を「協力のパートナー」と称した。さらに、先月6日の「第三者弁済」案の発表に続き、先月16日には東京で岸田文雄首相と首脳会談を行い、「シャトル外交」の復元と韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化などに合意した。

尹錫悦大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史が24日、米国国賓訪問のため城南ソウル空港で空軍1号機に搭乗し、手を振っている/聯合ニュース

 同日出た尹大統領の発言は、いまだ「誠意ある呼応」を示さず過去を否定する日本に重ねて免罪符を与えたものだ。2015年8月の安倍談話とも似ている。安倍元総理は当時「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と語った。26日の韓米首脳会談で拡大抑止(核の傘)の強化と韓米日3カ国の安保協力案が話し合われると予想される中、尹大統領が「近くなった韓日」を誇示したともみられる。

 尹大統領の発言に、野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は記者団に対し「数十年間日本に侵略され苦痛を受けた大韓民国の大統領として決して口にしてはならない言葉」だとしたうえで、「大統領がどのような歴史意識を持っているのか、考えさせられる発言」だと述べた。

 一方、尹大統領はウクライナ支援問題においては一歩後退した。尹大統領は「ウクライナは不法な侵略を受けており、様々な支援を行わなければならない」としながらも「何をいかに支援するかについては、韓国と交戦国間の直接・間接的な様々な関係を考慮せざるを得ない」と語った。19日に報道されたロイター通信とのインタビューで、大規模な民間人虐殺などを前提にウクライナに殺傷力のある兵器供与の可能性を示唆したことに比べると、より慎重になった格好だ。

 尹大統領は韓米同盟については「歴史的にすべての同盟の中で最も成功した同盟であり、何よりも価値観同盟だ」と述べた。尹大統領夫妻は韓米同盟70周年を迎えて実現した5泊7日間の米国国賓訪問のため、同日出国した。

ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1089210.html韓国語原文入力:2023-04-25 02:41
訳H.J

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