仁川市弥鄒忽区(インチョンシ・ミチュホルグ)の「建築王」N氏(61)が2018年に6600億ウォン台の江原道の東海岸(トンヘアン)圏経済自由開発庁(東自庁)の望祥(マンサン)1地区の開発事業者に選定されたことに関連し、江原道は21日、望祥1地区事業者の選定過程についての緊急監査を行うことを決めた。
21日の本紙の取材を総合すると、N氏は2018年に東自庁望祥1地区の開発事業者に選ばれた。その際に東自庁で望祥1地区事業を総括していた人物は、投資誘致本部長のA氏と望祥事業部長のB氏だ。A氏は2016年に東自庁に任用され、北坪(プクピョン)、玉渓(オッケ)、望祥などへの投資誘致事業を総括する投資誘致本部長として働いており、B氏は2016年8月から昨年まで望祥事業部長を務めていた。
彼らは2004年から仁川経済自由区域庁で投資誘致業務を担当していたことが分かった。A氏は2004年に仁川経済庁の契約職公務員として任用された。その後、2008年からは投資誘致業務担当課長を務め、共に民主党のソン・ヨンギル前代表が仁川市長を務めていた2012年に投資誘致本部長に昇進した。B氏は2004年にナ級公務員として任用され、2008年からは投資誘致担当チーム長を務めた。
江原道企画調整室のキム・ハンス室長は21日、江原道庁記者室で懇談会を開き「江原道は当初5月初めに定期総合監査を実施する予定だったが、俗称『伝貰(チョンセ)詐欺師』N氏の望祥1地区事業権の獲得過程についての疑惑がふくらんでいることから、監査に早期に着手することを決めた」と明らかにした。(伝貰は契約時に高額の保証金を貸主に預けることで月々の家賃は発生しない不動産賃貸方式)
ウォン・ヒリョン国土交通部長官は20日の国土交通委員会に出席し、「N氏は他地域(江原道)に行って投資事業を展開しており、その過程で高位の政治家たちが依頼したり圧力を加えたりしたという情報提供があるので、特別捜査をしていると認識している」と述べている。
望祥1地区の開発は、海洋・複合観光都市建設という目標のもとに推進された。総事業費は6674億ウォン(約672億円)規模。2015年2月にはカナダのダンディーグループが開発事業者に選定されたが、2017年初めに事業費不足などで事業から撤退している。その後、N氏が経営するサンジン総合建設が2017年7月に業務協約を結んだ。N氏は東海Eシティーという特殊目的法人を作り、望祥洞一帯の175万平方メートルの土地を購入することで、開発事業施行者に選ばれた。だが、残り165万平方メートルの土地収用のための200億ウォン(約20億1000万円)あまりの供託金を昨年の期限までに預けられなかった。