尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が、国家安保や被害者の人権と直結する外交事案を十分な公論化の過程を経ないまま独善的に決定し、発表する。このようなことが繰り返されている。この過程で韓国政府の交渉カードを事前に見せてしまい、交渉力を使い果たしていると指摘する声があがっている。
尹大統領は19日に報道されたロイター通信とのインタビューで、「民間人への大規模攻撃や虐殺、重大な戦争法違反など、国際社会が容認できない事態が発生した場合、人道・資金援助だけに固執するのは難しいかもしれない」と述べ、ロシアと戦争中のウクライナに対する武器支援の可能性をほのめかした。「殺傷力のある兵器の支援不可」という政府の方針とは異なるニュアンスだ。
その直後にロシアが「ウクライナに対する武器支援は一定部分の戦争介入」だと反発するほど敏感な事案について、24日の訪米を前に行った外国メディアとのインタビューで語ったのだ。政府はウクライナに対する兵器支援説が浮上するたびに否定しつつ、十分な意見集約は行ってこなかった。しかも、この問題は26日に米国で行われる韓米首脳会談で取り上げられる可能性がある。尹大統領は「カード」をあらかじめ見せてしまったと指摘されうる。
尹大統領と大統領室のこのような態度は、先月の韓日首脳会談前後の過程とも似ている。尹大統領は韓日首脳会談の前日の先月15日に公開された「読売新聞」とのインタビューで、韓国政府の発表した日帝強制動員問題の第三者弁済案について「後の求償権(債務を代わりに弁済した人が持つ返済請求権)行使にはつながらない解決策」だと述べた。これも国内の十分な意見集約手続きを省略し、韓国政府のカードを見せてしまった格好だ。交渉が進められているさなかの1月16日に外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長と日本外務省アジア大洋州局の船越健裕局長が東京で協議した後、外交部当局者は「(日本側の)謝罪と誠意ある呼応措置が必要であり、そうすることではじめて発表できると(日本側に)話した」と述べていた。
韓日首脳会談後に批判が激しくなると、尹大統領は先月21日に「過去最悪の韓日関係を放置する大統領にもなりえたが、私までもが敵対的民族主義と反日感情を刺激して国内政治に利用しようとしてしまったら、大統領としての責務をないがしろにするものだと考えた」と「決断」を強調した上で、「韓国が先制的に障害物を取り除いていけば、明らかに日本も呼応してくるだろう」と述べた。しかし、日本政府の呼応はまだない。
専門家は、尹大統領の一方主義的な態度が外交・安保リスクを高めると指摘した。パク・チョンス元大統領直属北方経済協力委員長は、本紙の電話取材に対し「訪米を前に米国を意識してインタビューしたようだが、国益にプラス要因がなければならないのに失う可能性の方が高い状況」とし、「外国メディアとなぜあのようなやり方でインタビューしたのか疑問だ」と述べた。