本文に移動

「忘れません」…梨泰院惨事の市民追悼祭で鳴り響いた犠牲者たちの名前

登録:2022-12-17 06:42 修正:2022-12-17 08:05
警察、龍山に向かう行進を車の壁で遮断 
市民「10月29日、警察は何をしたのか」
16日夜、市民追悼祭を終えた遺族たちと参加者が緑莎坪駅近くで警察によって制止されている=ソ・ヘミ記者//ハンギョレ新聞社

 「昨日は白い雪がたくさん降ったよ。見渡す限りこんなに白くてきれいなのに、この銀世界を一緒に見られないのがとても寂しくてつらい。(故チョ・ハンナさんの母親)」、「娘が結婚する時には祝歌を歌ってくれるはずの友人たちが、四十九日に鎮魂歌を歌うことになるなんて(故イ・サンウンさんの父親)」、「冷たい風が吹く季節が訪れると、姉さんの誕生日が近づいてくる。冬に生まれたのに寒がりだった姉さん、今年も家族の誕生日すべて祝ってくれたのに、3日後の姉さんの誕生日にはなぜ主人公がいないの(故チェ・ジョンミンさんの妹)」

 梨泰院(イテウォン)惨事発生から49日目の16日午後8時頃、事故現場近くのソウル龍山区(ヨンサング)の地下鉄6号線梨泰院駅ハミルトンホテル前で、犠牲者の遺族が手紙を朗読するたびに、遺族たちも、追悼祭に参加した市民も、一緒に涙を流した。

 10・29梨泰院惨事遺族協議会と市民対策会議は、同日午後6時、梨泰院駅ハミルトンホテルから緑莎坪(ノクサピョン)駅までの道路上で、市民追悼祭を開いた。この日の追悼祭には、氷点下5~6度の厳しい寒さにもかかわらず、犠牲者の遺族と親戚約300人をはじめ、主催側の推算で延べ8000人以上が参加した。市民追悼祭の開始前、遺族たちは午後5時頃、隣駅の緑沙坪駅付近に用意された市民合同焼香所で参拝と献花をし、追悼祭の舞台が設置された梨泰院駅の方へ移動した。

 「圧死しそうです」。午後6時34分になると、惨事当日の午後6時34分に圧死の危険性を初めて警察に知らせた112通報者の音声が追悼祭の現場に流れた。遺族協議会のイ・ジョンチョル代表は「私たちの愛する人たちが、最も安全なところで生まれ変わることを願う」として、市民に「私たちを忘れないでほしい」と訴えた。追悼祭に参加した市民は主催側が配ったプラカードの「私たちを忘れないでください」の他にも、「泣くこと以外は何もしてあげられない」「ごめんなさい、本当に」「一緒に(真相を)究明します」「忘れません」などと書かれたプラカードを持っていた。

 追悼祭で主催側は、遺族が公開に同意した犠牲者の名前を一つひとつ読み上げて、「忘れません」と叫んだ。追悼祭に参加した一部の市民が、舞台画面に犠牲者の写真と名前が出るたびに名前を大きな声で呼ぶと、それに同調する市民の数も次第に増えた。遺族たちも犠牲者の名前と写真が出るたびに、名前を呼びながら号泣した。その後、追悼祭では家族のビデオレターと追悼発言、歌手ハリムの追悼公演、セウォル号惨事遺族と一般市民で構成された「416合唱団」の追悼公演が続いた。午後8時頃からは遺族や友人などによる犠牲者への手紙の朗読が行われた。

 イ・ジョンチョル代表は「『時間が経てばこの苦しみと会いたい気持ちも少しずつおさまるだろう』と自らを慰めていたが、むしろ時間が経つほどいっそう大きくなっていく」とし、政府関係者の非常識な発言や遅々として進展が見られない真相究明、惨事以降の後族や被害者の放置などを苦しみの原因に挙げた。

 追悼祭を共に開いた市民対策会議は、国家の責任認定および大統領の公式謝罪▽真相究明過程への被害者の参加▽責任者の処罰▽梨泰院惨事の追悼空間と被害者総合支援対策作り▽2次加害防止対策▽再発防止および安全社会対策作りなどを求めた。

梨泰院惨事の犠牲者の四十九日を迎えた16日夜、ソウル梨泰院駅前の道路で開かれた市民追悼祭で遺族と市民たちが故人を追悼している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 午後9時10分頃、参加者は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の謝罪を要求して龍山大統領執務室方向に行進を始めたが、警察は緑莎坪駅近くにポリスラインとフェンス、バスを並べて阻止した。遺族たちは「大統領室に要求書を渡したい。10月29日、警察は何をしたのか」と問い詰めた。警察の解散放送の末、遺族代表だけが大統領室に国家責任の認定と大統領の公式謝罪などを盛り込んだ要求書を渡すことができた。追悼祭は午後9時50分頃に終わった。

 この日の追悼祭には、共に民主党のイ・ジェミョン代表と正義党のイ・ジョンミ代表が参加した。 前日、国民パネル100人が参加した国政課題点検会議でも惨事に関する何の言及もしなかった尹大統領は、この日も直接謝罪などのメッセージは出さなかった。大統領室の高官は「悔やまれてならないのはその日(惨事同日)も四十九日の今も同じだ。真実を究明し、適切な措置を取るのが犠牲者と遺族のための道だ。重ねてご冥福をお祈りする」と述べた。 同日午前、曹渓寺で開かれた慰霊祭には、カン・スンギュ大統領室市民社会首席が出席したという。

ソ・ヘミ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1071983.html韓国語原文入: 2022-12-17 01:00
訳H.J

関連記事