民主労総全国公共運輸社会サービス労働組合・貨物連帯本部(貨物連帯)の全面ストライキ開始から1週間目を迎えた先月30日、政府は前日にセメント分野に史上初の業務開始命令を発動したのに続き、運送に復帰しなければ精油業界に対する業務開始命令と、安全運賃制(適正運賃保障)の廃止を検討すると表明することで圧力を強めた。これに伴い、政府と貨物連帯の2回目の交渉も、互いに立場の違いを確認しただけで決裂に終わった。
貨物連帯と国土交通部は30日午後、政府世宗(セジョン)庁舎で2回目の交渉を行ったが、何の成果もなく40分で決裂し、次の交渉日程も決められなかった。ウォン・ヒリョン国土交通部長官は30日午後、政府世宗庁舎で行われた記者懇談会で「貨物連帯は運送開始命令に従わず、組合員に便法的で違法な命令書受領拒否要領を教えている。これ以上対話は行えない」と語った。ウォン長官は業務開始命令拡大の可能性について「今、精油の運送状況を毎日モニタリングしており、状況が悪化すればいつでも下しうる」と述べる一方、「復帰しなければ安全運賃制の廃止も視野に入れて検討する」と付け加えた。貨物連帯に対する損害賠償請求と油価格補助金支援からの排除も検討中であることをウォン長官は明らかにした。
大統領室の高官もこの日、「様々なオプションがある中、安全運賃制の廃止や貨物車(許可制の廃止と)登録制への転換も検討するのか」と問われ、「現在、結論は出ていない」としながらも、「検討しうる事案については、政府が尹大統領の指示に従って様々なオプションを検討している」と述べた。政府与党は当初、年末での満了が予定されているセメント・コンテナ品目に対する安全運賃制を3年延長する一方、貨物連帯が要求する品目拡大は受け入れないとの態度だったが、ストを続ければ安全運賃制の廃止もありうると脅しをかけたのだ。
国民の力も、安全運賃制法案論議をストと関連づけて貨物連帯を圧迫している。国会国土交通委員会で与党より議席数の多い共に民主党は、貨物連帯の要求である安全運賃制サンセット条項の廃止と、既存の2品目に5品目を追加することを内容とする貨物自動車運輸事業法改正案を上程している。国民の力は「貨物連帯がストを撤回し、民主党が16日に単独処理した予算案を原状復旧させれば、法案論議に臨む」という態度だ。年内に国会で改正案が可決されなければ、安全運賃制はそのまま満了となる。
貨物連帯はこの日の交渉決裂後、報道資料を発表し、その中で「政府との対話を進展させるための誠意ある交渉案を持って臨んだが、国土部が交渉は不可能だと答えたため、対話は続けられなかった」と述べた。貨物連帯の関係者はこの日、本紙の電話取材に対し「政府が業務開始命令を撤回し、誠意ある姿勢で対話に出てこない以上、ストを中断するつもりはない」とし、「業務開始命令が下されても組合員はストに参加している」と述べた。