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【独自】大統領室の「ロボット犬」事業、尹大統領の高額後援者が実所有する会社が受注

登録:2022-11-23 11:04 修正:2022-11-23 13:54
米企業かの韓国法人と総販を担当してから4カ月で 
大統領室警護処と賃借運用を「随意契約」 
来年の「8億ウォン予算」公開入札に有利 
6月に一般市民に開放されたソウル龍山公園で、米国のA社のロボット犬が大統領執務室警護用としてテスト運用されている姿/聯合ニュース

 今年の大統領選挙の際に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に多額の後援金を提供した人物が実質所有する会社が、ソウル龍山(ヨンサン)大統領室の警護ロボット(ロボット犬)の事業を随意契約で受注したことが確認された。この人物は尹大統領の夫人、キム・ゴンヒ女史名義で大統領就任式に夫婦同伴で招待された。

 ロボット犬警護は、今年3月の尹大統領当選後、大統領執務室を龍山に移転すると同時に科学警護の一環として登場した。この会社は警護用ロボット犬を生産した米国のA社の韓国法人と5月に独占代理店契約を結んだが、4カ月後に大統領室との随意契約が成立したことから、大統領夫妻との私的な関係が契約に影響を及ぼしたのではないかという疑惑が持ち上がっている。

 大統領警護処が共に民主党のチョン・ヨンギ議員室に説明した内容と本紙取材を22日に総合したところによると、9月27日、警護処はC社と3カ月間ロボット犬賃借契約を結んだ。同時に2台、最大4台のロボット犬を交代で運用し、費用は月600万ウォンずつ計1800万ウォン(約187万円)を支払うことにした。2000万ウォン以下の契約なので随意契約でなされた。

 ただし、警護処はロボット犬購入費用などを含む来年の「科学警護作戦装備導入」予算を約13億ウォン(約1億3500万円)策定している。このうちロボット犬の購入費用は8億ウォン(約8300万円)だ。

 警護処はチョン議員室に「来年からの本事業を準備中だが、運用概念を把握するために詳細に(性能などを)調べる必要があり、3カ月間(賃借)運用した」と説明した。警護処は来年には公開入札を通じてロボット犬を購入する方針だが、3カ月間賃貸して性能テストを受けたC社が有利な状況だ。

 問題は、C社の前代表であり現取締役のS氏(62)が、ロボット犬の賃借契約前から尹大統領夫妻と関係を結んできた情況が明確だという点だ。S氏は昨年7月、当時大統領選候補だった尹大統領に後援金1000万ウォンを提供した。尹大統領の2万1279人の後援者のうち、法定最高限度である1千万ウォンを支払った人は50人のみ。

 さらに、S氏は周辺の人々にも尹大統領の後援を勧めたという。S氏の知人は本紙の取材に対し「(S氏が)一緒に尹大統領側を後援しようと自分にも言った」と話した。その後、S氏は尹大統領の就任式にキム・ゴンヒ女史名義で夫婦での招待を受けた。S氏の妻はC社の製造総括本部長であり、この夫婦はC社の株を約40~50%保有している実所有者だという。

 ロボット犬の導入はとんとん拍子に進められた。C社が米国のロボット会社であるA社の韓国法人と独占代理店契約を結んだのは5月。1カ月後の6月、警護処は龍山大統領室の付近で、A社のロボット犬と韓国企業が買収したB社のロボット犬をテスト運用した。

 3カ月後の9月、A社のロボット犬を賃借運用することを決め、代理店であるC社と契約。C社は昨年の売上が8700万ウォン(約900万円)にすぎず、ロボット犬を販売した実績もないが、A社の代理店契約を結んでから4カ月後に大統領室との契約を獲得した。

 初期契約金額(1800万ウォン)は少額だが、未来の期待収益は大きな事業だ。ロボット業界のある関係者は「新事業は市場を先取りすることが重要だ。大統領室との契約は評判をあげる効果がある。ロボット犬が大統領室周辺を歩き回るだけでも広報効果が生じる」と話した。

 チョン・ヨンギ議員は、「大統領夫妻との私的な関係がさまざまな利権とつながっているような疑惑が相次いで持ち上がっているのは、それ自体で深刻な問題」だとし、「提起された様々な疑惑を明らかにするためには、総合特検が必要な状況だ」と述べた。

 S氏は本紙に「特別恩恵なんてとんでもない。月600万ウォンで(ロボット)機械4つをどうやって作動させるのか。未来のことを考えて、今は損でも仕方なくやっている。来年(警護処が)買うというので、契約書に書いてくれと言ったが、書いてくれなかった。(来年も)我々が(契約)するという保障はどこにもない」と話した。

 大統領就任式は「知り合いが(政権)引継ぎ委員会におり、大統領夫妻と親しいから招待状を送ると言った」とし、キム女史の直接招待ではないと語った。だが、S氏が言及した引継ぎ委員は本紙に「S氏に(就任式の招待を)頼まれたことはない」と話した。

 大統領室関係者は「警護処は6月からテスト運用を通じた性能評価を進め、A社のロボット犬を選定した。性能評価以外のいかなる要素も考慮しなかった。大統領夫妻は何の関係もない」と述べた。

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大統領警護ロボット犬事業の契約業者はどのような会社か?

 大統領室警護処と警護用ロボット犬の運用契約を結んだC社は、2017年に設立された。ドローンと車椅子事業などをしたが、明確な実績を出せず、今年ロボット犬の販売市場に参入した。

 ナイス評価情報の先月の信用分析報告書によれば、C社は2019年と2020年の売上額がなく、昨年は8700万ウォンの売上を上げた。この3年間で2億~5億ウォン台の純損失を記録した。昨年末基準の自己資本率は3.82%で、負債率は25~15.5%。スタートアップという点を考慮しても、財務の健全性が良好ではない会社だった。C社の監査は、ドローンと車椅子事業などでは「利益を得たことがない」と述べた。

 今年からC社は本格的にロボット犬分野に事業を拡大した。警護処が6月にロボット犬のテスト運用を始める1カ月前の5月、米国のロボット会社であるA社の韓国法人と代理販売契約を結んだ。

 尹錫悦大統領に大統領選挙の後援金1000万ウォンを提供したC社のS氏(62)は、C社の前代表であり、現社内取締役。妻のH氏(61)も社内取締役で製造総括本部長として働いている。この夫婦は今年5月、キム・ゴンヒ女史名義で大統領就任式に夫婦共に招待された。

キム・ジウン、キム・ガユン、チョン・ファンボン、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1068452.html韓国語原文入力:2022-11-23 10:10
訳C.M

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