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韓国国防部「米国と砲弾輸出を協議…ウクライナ支援用ではない」

登録:2022-11-12 05:31 修正:2022-11-12 10:30
WSJ「韓米国防相、秘密裏に155ミリ10万発の購入に合意」 
国防部「米国が最終使用者であることを前提に砲弾を提供」
155ミリ榴弾砲の砲弾=陸軍のフェイスブックよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 韓国国防部が11日、「米国を最終使用者(エンドユーザ―)にするという前提で弾薬輸出の協議が進められている」と述べた。「韓国が米国を通じてウクライナに155ミリ砲弾を提供する」という米国メディアの報道に対する釈明だ。

 国防部は同日「米国内で不足している155ミリ弾薬の在庫量を補充するため、米国と韓国企業との間で弾薬輸出協議が進められている」と説明した。さらに「ウクライナに殺傷兵器を支援しないという政府の方針には変わりがない」と明らかにした。しかし、韓国が米国に砲弾を輸出した場合、結果的に韓国が米国を通じてウクライナに砲弾を支援することになると批判される余地もある。

 これに先立ち、米国のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は10日(現地時間)、今月初めに米国を訪問したイ・ジョンソプ国防長官がロイド・オースティン米国防長官との会談で、韓国の155ミリ砲弾10万発を米国が購入することに原則的に合意したと報じた。同紙はこの合意について詳しい米国政府関係者たちの話として「米国がこれらの砲弾をウクライナに送る計画」だと報道した。イ・ジョンソプ長官は3日、米国で開かれた第54回韓米年例安保協議会(SCM)で、オースティン長官と会談を行った。

 米国はこれまでに合わせて155ミリ榴弾砲(りゅうだんほう)142門と155ミリ砲弾92万4千発(1発当たり120万ウォン)をウクライナに支援した、あるいはこれから支援する予定だと発表している。これに伴い、米国では砲弾の在庫および生産能力に対する懸念の声があがっている状況だ。ウォールストリート・ジャーナルは8月29日付で、「155ミリ砲弾の在庫が不安を抱かせるほど少ない状態であり、増産にも速度を出せずにいる」と報道した。

 155ミリ砲弾は地上軍の榴弾砲などに使われる。ウクライナ戦争が長期化し、地上戦中心に展開されていることで、戦争初期に登場したミサイルや精密砲弾ではなく砲兵火力の比重が高まっている。英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)は今年7月、ロシア軍の一日当たりの砲兵射撃が2万発、ウクライナ軍の一日当たりの砲兵射撃が約6000発だと分析した。今後、ロシア軍とウクライナ軍が展開する攻勢の強さと持続期間は砲兵弾薬の確保によって決まる可能性が高い。

 韓国政府はこれまでウクライナに防毒マスクや防弾ヘルメット、テント、毛布、戦闘食糧、医薬品、防弾ベストなどの非殺傷軍需物資を支援してきた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先月、「韓国がウクライナに兵器と弾薬の提供を決めたことを知っている。韓国とロシアの関係が破綻するだろう」と述べたが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と国防部は「ウクライナに殺傷兵器を供給した事実はない」と否定した。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1066827.html韓国語原文入: 2022-11-1113:52
訳H.J

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