文在寅(ムン・ジェイン)政権と共に民主党のイ・ジェミョン代表を狙った検察捜査の結果が来週相次いで出る。文在寅政権当時、西海(ソヘ)公務員殺害事件関連の職権乱用などの疑いで拘束されたソ・ウク前国防部長官とキム・ホンヒ前海洋警察庁長、政治資金法違反の疑いで拘束されたイ・ジェミョン代表の最側近、キム・ヨン民主研究院副院長の拘束起訴の可否が来週決まるためだ。拘束期限はソ前長官とキム前庁長が9日、キム副院長が8日までで、検察は期限切れ前に彼らを全員拘束起訴する見通しだ。
両事件を捜査するソウル中央地検公共捜査1部(イ・ヒドン部長)と反腐敗捜査3部(カン・べクシン部長)は、容疑の立証に自信を示している。しかし、両事件に対する法曹界の見方は分かれている。まず、西海公務員殺害事件で拘束されたソ前長官を職権乱用権利行使妨害罪で裁けるかについては疑問の声があがっている。ソ前長官が2020年9月に軍事情報統合処理体系(MIMS)に記録された西海事件に関する報告書を削除するよう指示した疑惑を、政策判断の領域とみる余地もあるためだ。「故イ・デジュンさんの越北(北朝鮮に渡ること)をでっち上げる理由も実益もない」、「特殊取扱情報(SI)情報が不必要に伝播・共有されることを防ぐための措置」だという主張も、これを後押しする。「国家情報院-監査院-検察」とつながる“あら探し”捜査で、起訴率0.1%台に過ぎない職権乱用疑惑を適用し、前政権への報復に乗り出したのではないかという批判が出てくるのもそのためだ。
民主党内の大統領候補予備選挙中に、「大統領選資金」として不法政治資金8億4700万ウォン(約8800万円)を受け取った疑いで拘束されたキム副院長事件は、検察が大庄洞(テジャンドン)民間事業者の「供述」を超える「物証」を提示できるかどうかがカギとなる。キム副院長側は拘束後、連日続いた検察の取り調べで「供述拒否権」を行使し、疑惑を全面否定している。検察はユ・ドンギュ前城南都市開発公社企画本部長とナム・ウク弁護士などの供述を土台にキム副院長の口を開こうとしたが、これさえも容易ではない状況だ。主な物証とされる、資金を運んだL氏の自筆メモと金を入れたカバンなどは、調査段階で示されなかった。 もどかしい状況が続く中、検察は「家族のことを考えろ」とキム副院長を説得したという。検察がキム副院長を起訴した後、法廷で核心証拠を公開するものと予想されるが、供述を裏付ける物証が出てくるかが注目される。
これらの事件に劣らず法曹界の目を集める重要な事件がもう一つある。全国民が悲しみに暮れ、哀悼中の梨泰院(イテウォン)ハロウィーン惨事だ。ハン・ドンフン法務部長官は「大規模惨事」は検察の直接捜査範囲ではないとし、一歩引く態度を示した。しかし、警察の職務遺棄、ずさんな対応、龍山区役所などの公務員の職務遺棄疑惑は、検察の直接捜査範囲に含まれる。ただし、これも警察が捜査を開始し、検察はこれ以上事件を引き渡すよう要求できなくなった。そのため、検察が尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権初の大規模惨事の捜査に対する政治的負担を恐れ、消極的だったのではないかという批判が出ている。警察のずさんな対応に対する警察庁特別捜査本部の「内部調査」が適切なのか、特別捜査本部が身内の警察高官に責任を問えるのかについて疑問の声があがる中、ハン長官が「常設特検」の切り札を出すかに注目が集まっている。