「梨泰院(イテウォン)惨事」では警察、消防、地方自治体などを結ぶ災害安全通信網が作動していなかったことが分かった。
行政安全部のキム・ソンホ災害安全管理本部長は4日午前、政府世宗(セジョン)庁舎で行われた梨泰院惨事中央災害安全対策本部(中対本)のブリーフィングで、「災害安全通信網はボタンさえ押せば関連機関同士で通話ができる体制が整えられているが、今回はその部分がうまく作動していなかった」と語った。災害安全通信網は警察、消防、海洋警察などの災害関連機関が一つの通信網で意思疎通をはかれる全国単一通信網だ。セウォル号惨事を機に必要性が叫ばれ、昨年に構築が完了している。
政府は、通信網そのものに問題があったわけではないが、実際の活用のための訓練が不十分だったとみられると釈明した。キム本部長はこれについて「災害安全通信網に問題があったり通話ができなかったりするなどの状況は発生しなかった。ただし関連機関同士で通話すべきなのに、グループでまとめてあった部分を使用しなかったという、そのような状況」だと説明した。この通信網を通じて機関内部での通話は円滑に行われたが、関連機関同士の意思疎通はきちんと行われなかったという説明だ。同氏は関連機関同士の意思疎通がなされなかったことについて「現場で活用する訓練を行うようにしているが、そのような部分が少し足りなかったのではないかと思う」と答えた。
キム本部長はまた、「海上事故とは異なり、陸上事故の112番通報(警察への通報)が行政安全部の状況室に伝えられていないこと」が問題点として指摘されていることについて、「海上での事故はその性格上、災害になる恐れが高いため、海洋警察の情報が112によってうち(行安部)の災害状況室に入ってくる」とし、「陸上での112番通報は警察の事件やこのような部分が災害とは異なる側面もある」と語った。キム本部長は「現在の法体系上、報告体系が整っていないため、我々がその情報を受け取れなかったという側面がある」と語った。
一方、政府は梨泰院惨事の犠牲者や家族などを支援する「ワンストップ統合支援センター」を設置すると発表した。ワンストップ統合支援センターは、犠牲者の家族らに対する葬儀、負傷者の治療、救護金の支給、心理治療・相談などの各種支援を統合した機関で、中央災害安全対策本部の傘下で統合請願室のかたちで運営される計画だ。また、7日に大統領主宰で「国家安全システム点検会議」を行い、112・119(災害通報)の緊急救助システムの整備や群衆管理などを含む国家安全システムについて議論する。