監査院が文在寅(ムン・ジェイン)前大統領に「西海(ソヘ)公務員殺害事件」と関連して書面調査を行うと通知したことが確認された。2カ月前から西海公務員殺害事件に対する監査を進めてきた監査院が、文前大統領に対する直接調査に乗り出したのは今回が初めて。文前大統領側と共に民主党が「退任した大統領に恥をかかせるために監査院を前面に出した政治報復」だとして強く反発しており、「外交惨事」をめぐる波紋でただでさえ協治と遠ざかっている与野党の対立が一層激化するものとみられる。
文前大統領側の関係者は2日、本紙との電話インタビューで、「監査院が先月28日、文前大統領に書面調査に応じるよう通知してきた」と明らかにした。監査中の西海公務員殺害事件と関連した事実関係を把握するという趣旨だ。文前大統領側は監査院の調査通知に強い不快感を示し、書面調査のための質問紙の受け取りを拒否したという。
監査院が西海公務員殺害事件と関連し、文前大統領に対する直接調査に乗り出した事実が明らかになったことを受け、民主党は「政権引継ぎ委から始めた検察と監査院を前面に掲げた政治報復のターゲットが文前大統領であることが明確になった」とし、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は国民の怒りを覚悟しなければならない」と警告した。同党のパク・ソンジュン報道担当は同日夕方、論評を発表し、「西海公務員射殺事件は議論の余地のない事件だ。にもかかわらず、退任した大統領に恥をかかせるために監査院を前面に出して政治報復に転じたことに怒りを禁じえない」とし、「民主党は文前大統領に対する尹錫悦政権の政治報復に立ち向かい、最後まで戦う」と明らかにした。
民主党の尹錫悦政権政治弾圧対策委員会は3日午前、国会疎通館で監査院の措置を糾弾する記者会見を開く予定だ。これとは別に、ユン・ゴニョン議員をはじめ、文在寅政権時代に大統領府で文前大統領を補佐した議員たちの集まり「初金会」も記者会見を行う。
一方、国民の力は文前大統領に対する調査は「当然の手続き」という立場を表明した。同党のヤン・クムヒ首席報道担当は論評で「(殺害された西海公務員を)越北(北朝鮮に亡命)と規定した過程などの責任を調査する過程で、大統領の役割について事実関係を確認するのは当然の手続きだ」とし、「西海公務員射殺事件の真実を明らかにするための監査院のすべての努力を尊重する」という立場を示した。
これに先立ち、監査院は7月中旬、文在寅政権時代の大統領府国家安保室と国情院、国防部、海洋水産部と海洋警察など9つの機関を対象に、西海公務員殺害事件に対する本監査に着手した。監査院側は文前大統領に対する書面調査通知について、「調査中の事案については具体的な事実関係を確認することは難しい」と述べた。