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公私の区別のない夫人リスク…「方法を教えてほしい」という尹大統領

登録:2022-06-16 02:00 修正:2022-06-16 08:48
尹錫悦大統領が15日午前、龍山の大統領室庁舎に出勤し、取材陣の質問に答えている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、「大統領を務めるのは初めてなので、公式と非公式の行事をどのように分けたらいいのか…」と述べ、妻のキム・ゴンヒ女史が烽下村(ポンハマウル)に知人を同行させたことで広がっている波紋に反応した。その態度に批判の声があがっている。すでに複数回の批判にさらされていることで予見されていたキム女史のリスク管理のずさんさを、経験不足のせいにしたり、大統領夫人と知人の行動を一般人と同じ物差しでとらえてたりしているとの指摘だ。

 尹大統領は15日、出勤途上の記者団の囲み取材で、キム女史と同行した知人について、「私もよく知っている妻の古い釜山(プサン)の友人だ」とし、「(妻がクォン・ヤンスク)女史に会いに行く際に、(クォン女史が)好むパンなどをたくさん持っていったようだが、釜山の名店に案内してくれたらしい」とし、「烽下村は国民のだれもが行ける場所ではないか」と述べた。

 キム女史は13日に烽下村を訪問し、故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の墓を参拝する際、行事日程とは関係のないK氏を連れていた。K氏はかつて、キム女史が代表だったコバナコンテンツの専務を務めており、キム女史が兼任教授を務めた国民大学で生涯大学院の指導教授だったことが明らかになっている。K氏がキム女史と共に大統領府警護処と職員の儀典と警護の下で「特別な礼遇」を受けつつ参拝したという事実には目を背け、市民の誰もが行ける烽下村に行ったことの何が問題なのかと本質をすり替えて主張したわけだ。

 さらに尹大統領は、キム女史の問題は大統領としての経験が浅いためだと述べた。

 尹大統領は「(キム女史の)烽下村(訪問)も非公開の日程だが報道されたと認識している。大統領を務めるのは初めてなわけだから、非公式(か公式か)、このようなものをどのように分けたらいいのか…」とし、「(妻には)公式の随行や秘書チームが全くないため、一人で出歩くこともできない。方法をご教示願いたい」と述べた。そして「どうまとめればいいのか、私も大統領になったばかりなので(わからない)。国民世論を聞いていきながらおいおい考えてみる」と付け加えた。2回も大統領としての経験不足を掲げたのだ。

 しかし、キム女史の管理の空白は、すでに大統領候補時代に大統領夫人に関する業務を遂行する第2付属室の廃止を公約に掲げた時から指摘されていた問題だった。さらにキム女史は、大統領選の過程はもちろん、尹大統領が当選した後も、メディアによるインタビューとファンクラブを通じて繰り返された恣意的な写真公開などで物議をかもしている。

 女史のリスク管理は、すでに大統領側近と党からも重ねて要請されている。そのため、当選から3カ月、就任から1カ月を超えている尹大統領が、市民とメディアに対して「方法を教えてくれ」と述べるのは説得力に欠ける。加えて、非公開日程なのに報道されたために問題になったという発言もやはり、キム女史は注目を浴びる公人であるうえ、日程も事前にメディアに公開されていたことから、市民を納得させるのは困難な論理だとみられる。15日には、キム氏だけでなくコバナコンテンツの2人の元職員が大統領室の職員として働いていることが明らかになっている。大統領室は、2人の採用の経緯や所属部署を明らかにすることを拒否した。

 専門家は、尹大統領の問題意識の低さを指摘する。明知大学のキム・ヒョンジュン教授(政治学)は、「尹大統領の精製されていない発言が出続けている。個人の意見をろ過することなしに述べるから舌戦になる」とし「自分では気さくに話しているつもりでも、世論には否定的に作用している」と語った。時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は「今からでも第2付属室を復活させるか、付属室を増員するかして担当人員を確保すべきだ」と述べた。

ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1047138.html韓国語原文入力:2022-06-15 17:34
訳D.K

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