韓国法務部が人事検証を担当するようにした法務部令改正の違法性を指摘する声が高まる中、国家情報院にも人事検証の役割を与えようとする主張が与党から出た。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の大統領候補時代の構想を再び確認した内容で、政治介入を防ぐために廃止した国情院の国内情報収集機能を復活させようとする試みではないかという懸念が高まっている。
尹大統領の最側近であるチャン・ジェウォン議員は25日、フェイスブックに「国民が許すならば、国家情報院にも人事検証部署を設けた方が良いと思う」として、「政治介入のレベルではなく、人事検証部署を正式に設ける形」だと書いた。法務部など検察出身者が人事過程を掌握しているという批判に対し、「人事システムが人事革新処-法務部-警察という多元化されたチャンネルの中で稼動」されるという論理で対抗する一方、国情院も人事検証部署として活用しようという主張にまで進んだのだ。
これは尹大統領の大統領候補時代の構想と軌を一にする。尹大統領は昨年12月、寛勲クラブでの討論会で、「徹底的にすべての情報と捜査ラインを動員して(人事)検証を行う」としたうえで、「人事検証に動員するという情報ラインに国情院も含まれるのか」という質問に対し、「国情院や警察が持っている情報だとしても、結局はこの情報が査察なのか、正当な情報の収集なのかは目的に関連している」と答えた。国情院法が禁止している国情院の国内情報収集を復活させることもありうるという構想であり、当時も物議をかもしたが、尹大統領の最側近であるチャン議員が「国情院の人事検証役割論」を再び取り上げたのだ。
しかし、国情院に人事検証業務を任せるのは、2020年に国情院法を改正して国内情報収集を禁止することで、政治介入の可能性を遮断した国情院改革方向に逆行するものと言える。国情院に人事検証の道を開いた場合、「身辺調査」の名分で国内情報の収集が可能になるからだ。法務部における人事情報管理団の設置を政府組織法ではなく法務部令改正のかたちで迂回したように、国情院にも国情院法改正ではなく下位法令改正で人事検証の機能を持たせる可能性もある。
参与連帯行政監視センター所長のイ・グァンス弁護士は「大統領秘書室が施行令で人事革新処から人事検証を委託され、立法予告形式で法務部が検証団を作ることはいずれも不適切だ。国情院も(下位法令の改正方式で)そのように(人事検証を)行う方法が法理的に正しいのかどうかについては争いの余地がある」とし、「国情院が個人情報を収集することになれば、以前の国情院の誤った行動が再び現れるだろう」と述べた。