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韓米合同軍事演習、朝鮮半島周辺まで拡大…「米国の核の傘」も強化

登録:2022-05-23 02:03 修正:2022-05-23 07:11
韓米日共同演習に拡大する可能性も 
拡張抑止に向けた戦略協議体を再稼動することに 
韓米の調整で米戦略資産を適時に展開
尹錫悦大統領とジョー・バイデン米大統領が今月21日午後、龍山の大統領室庁舎で拡大首脳会談を行っている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓米首脳は21日の首脳会談で、韓米合同軍事演習および訓練を拡大し、米国の拡張抑止を具体化していくことで合意した。拡張抑止とは、同盟国に加えられる核の脅威を核をはじめとする米国の防御力で防ぐ概念だ。高まる北朝鮮の核とミサイル脅威に対抗し、韓米合同防衛態勢を強化し、米国の「核の傘」の実行力を高めることを、首脳レベルで再確認したわけだ。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とジョー・バイデン米大統領は首脳会談後に発表した共同声明で、「北朝鮮の進化する脅威を考慮し、朝鮮半島とその周辺での合同演習および訓練の範囲と規模を拡大するための協議を始めることで合意した」と明らかにした。具体的な内容として国家安保室は、韓米合同軍事演習の正常化▽条件に基づいた戦時作戦権移管に向けた意志の再確認▽宇宙およびサイバーなど包括的分野での安全保障協力の強化を挙げた。

 「韓米合同軍事演習の正常化」は、2019年以降韓米が中止していた大規模兵力と装備が参加する野外機動演習を、早ければ8月から再開するという意味だ。北朝鮮は韓米合同軍事訓練を北朝鮮敵視政策の象徴とみなし、これの中止を対米・対南関係再開の条件として掲げている。北朝鮮の反発が予想される。

 「条件に基づいた戦時作戦権移管に向けた意志の再確認」は、尹錫悦政権の任期内に戦作権の移管を急がないという意味とみられる。「宇宙・サイバー分野での安全保障協力の強化」は、ハッキングなど北朝鮮の多様なサイバー脅威にも韓米が共に対応するということだ。

 尹大統領は首脳会談後の共同記者会見で、「(北朝鮮の)核攻撃に備えた両国の合同演習も多様な方法で必要ではないかという議論もあった」と述べた。昨年末から韓米は、従来の「作戦計画2015」を「作戦計画2022」(仮称)に修正する作業を行っている。核攻撃に備えた合同演習は、来年初めに完成する新しい作戦計画に盛り込まれる見通しだ。

 共同声明は「朝鮮半島とその周辺で」と合同演習の拡大範囲を明記した。東・西・南・海に合同演習の範囲が広がれば、日本の自衛隊まで参加する韓米日共同軍事訓練の議論につながる可能性もある。

 また共同声明は「バイデン大統領は核兵器や通常兵器およびミサイル防衛能力を含め、利用可能なすべての範囲の防衛能力を使用した韓国に対する米国の拡張抑止公約を確認した」と明らかにした。2009年以降、毎年両国の国防長官は「米国の核の傘、通常攻撃能力およびミサイル防衛能力」が拡張抑止戦力であることを確認してきたが、両国の首脳会談でこの内容が言及されたのは初めて。国家安保室は「首脳レベルで初めて核兵器や通常兵器、ミサイル防衛を含むすべての防衛力を使用して拡張抑止を提供すると具体的に公約した」とし、「北朝鮮に対する抑止のメッセージと、国民を安心させるメッセージを同時に発信した」と説明した。

核兵器を搭載できる米軍のB52戦略爆撃機/聯合ニュース

 拡張抑止策として、両国首脳は韓米間の調整を通じた米国戦略資産の適時の展開を再確認した。核兵器の搭載が可能な長距離爆撃機のような米国戦略資産を必要に応じて朝鮮半島に展開することで、北朝鮮に核抑止メッセージを送るということだ。

 両首脳はまた、「最も早いうちにハイレベルの拡張抑止戦略協議体(EDSCG)を再稼動」することで合意した。両国はEDSCGで具体的な拡張抑止の実行計画を協議する予定だ。EDSCGは朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2016年12月に発足した両国の外交・国防次官級チャンネルだが、2018年に南北関係、朝米関係が対話局面に変わったことで中止された。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1043853.html韓国語原文入力:2022-05-2218:10
訳H.J

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