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オミクロンより伝播スピードが13%速い南アの変異型2種、韓国国内で初確認

登録:2022-05-17 19:28 修正:2022-05-17 23:27
韓国の感染者1人から変異ウイルス「BA.5」を検出 
重症度の影響は未確認 
「7日間隔離義務」維持するかは20日に決定
電子顕微鏡で見た新型コロナウイルス=出処:NIAID//ハンギョレ新聞社

 南アフリカ共和国での新型コロナ再流行の原因とされるオミクロンの下位変異型である「BA.4」と「BA.5」が韓国国内でも初めて確認された。流行規模の減少傾向がやや減速した状況の中で、政府は23日に解除することを予定していた「感染者7日間隔離義務」を1カ月間維持する方案を検討している。

「南アで流行の変異ウイルス、重症度の増加は未確認」

 中央防疫対策本部(防対本)は17日、「オミクロンの細部系統変異である『BA.4』1件と『BA.5』2件が韓国国内で初めて確認され、疫学調査を進めている」と明らかにした。「BA.5」の感染者の1人は、今月12日に無症状状態で陽性が確認され在宅治療中の仁川居住者で、先に感染した人や接触者などについては疫学調査が進められている。また、もう一人の「BA.5」感染者(5月8日トルコから入国)と「BA.4」感染者(4月27日南アフリカから入国)は海外からの流入事例だ。

 オミクロン細部系統に分類される「BA.4」と「BA.5」変異ウイルスは、今年1月と2月に南アフリカで初めて報告された。2つの変異ウイルスの南アフリカにおける占有率は、3月の16%から4月には64%へと大幅に増えた。ここのところ「BA.5」感染者が急速に増加しているポルトガルと南アフリカの事例を見ると、これらの変異ウイルスは韓国で流行中の「BA.2」に比べ12~13%伝播スピードが速い。これに先立つ13日、ヨーロッパ疾病予防統制センター(ECDC)は、ワクチンを接種していない既存のオミクロン(BA.1)感染者の中和抗体(コロナを無力化する抗体)が「BA.4」や「BA.5」変異株に露出すると大幅に弱まったという南アフリカの実験室研究の結果を紹介した。オミクロン感染で自然に免疫を確保した人々も、これらの変異ウイルスに再感染しうるという意味だ。

 防対本が3月20日から今月16日までに確認されたオミクロン細部系統変異(BA.2.12.1、BA.4、BA.5)と組換え体(XQ、XE、XM)感染事例30件を分析した結果、重症や死亡に至ったケースはなかった。30人のうち27人は軽症だったが回復し、3人は在宅治療中だ。10人は陽性判定当時に無症状で、ハイリスク群の60~74歳の感染者は2人だった。感染事例30件に疫学的関連性や地域的集中はなかった。評価対象が少なく、結果の解釈には注意が必要だが、既存のオミクロン変異ウイルスに比べて重症度が高いとみることはできないというのが防疫当局の判断だ。世界保健機関(WHO)とECDCは、「BA.4」と「BA.5」変異ウイルスが他のオミクロン系統変異ウイルスと比較して重症度が異なるという証拠はまだ確認されていないと報告した。防対本のパク・ヨンジュン疫学調査チーム長も「まだ(BA.4、BA.5の)重症度への影響は確認されていない」と説明した。

「感染者隔離義務、さらに1カ月維持の案を議論中」

 一方、韓国の新型コロナ流行は「減少傾向がやや減速している」という評価だ。5月第1週(5/1~7)の1日平均の新規感染者3万8084人から、第2週(5/8~14)は3万6057人と、5.3%の減少にとどまった。感染者1人が何人に感染させるのかを示す数値である感染再生産指数も、同じ期間に0.72から先週は0.90に上昇した。こうした状況で、政府はポストオミクロン対応体系を「安着期」に進めるかどうかを、20日の中央災害安全対策本部会議を経て発表する予定だ。これに先立ち、文在寅(ムン・ジェイン)政権は先月25日、新型コロナ感染症の等級を1級から2級に調整し、4週間の「移行期」を経て、5月23日から感染者の隔離義務を勧告事項に切り替える安着期に入ることを決めた。23日以後に隔離義務が維持されるかについて、政府関係者は本紙との通話で「7日間の義務隔離を1カ月程度さらに維持する案を議論している」として「専門家の意見などを総合して20日に決める予定」と明らかにした。

 疾病管理庁の国立感染症研究所は、5月中に正確な地域社会感染者規模の確認と流行リスク評価のための大規模な抗体陽性率調査に着手する。全国17市・道の満5歳以上1万人ずつ、第2~4四半期、3万人が対象であり、最初の調査結果は6月末~7月初めに出ると予想される。防対本のイ・サンウォン疫学調査分析団長は「自身が認知できないまま感染した人の比率がどれくらいかを知っておくことは、ワクチン政策や流行を予測する上できわめて重要な要素」だと話した。

イム・ジェヒ記者、クォン・ジダム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1043239.html韓国語原文入力:2022-05-17 17:51
訳J.S

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