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「軽症、無症状が多数」オミクロン株の臨床結果、デルタ株などと明らかに異なる=韓国

登録:2022-01-13 03:24 修正:2022-01-13 07:31
新種感染症中央臨床委員会が40人を臨床分析 
52.5%は軽症、47.5%は無症状を確認 
デルタとは異なり鼻、咽頭、喉頭の「上気道」感染 
軽症患者の急増に備えた医療システムを
新型感染症中央臨床委員会が12日午前、ソウル中区の国立中央医療院の新築移転予定地で記者会見を開き、国内のオミクロン株感染者は主に症状が軽微、または無症状だったとの研究結果を発表している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府がオミクロン変異株に関する対応体系の発表を今週中に控えている中、政府の治療に関する諮問機関である新型感染症中央臨床委員会は、オミクロン株に感染した国内の患者の臨床分析結果を発表した。オミクロン株は肺炎を引き起こすことはなく、重症化する人の割合も著しく低いというのが委員会の総合的な分析だ。委員会は、「オミクロン株は、デルタ株などの従来の新型コロナウイルスとは異なる特性を示す」と強調し、軽症患者の急増に備えた医療システム構築の必要性を説明した。

オミクロン株は軽症または無症状

 新型感染症中央臨床委員会(委員会)は12日、国立中央医療院の新築移転予定地で記者会見を行い、国内のオミクロン株感染者は主に軽症か無症状だったとの研究結果を発表した。これは、先月4日から17日まで国立中央医療院に入院した40人の初期オミクロン株感染者の臨床症状の経過を分析したもの。委員会は「40人中21人(52.5%)に症状が見られ、19人は(47.5%)無症状だった」とし「症状のある21人もすべて治療や入院の必要ない軽症だった」と明かした。CT撮影で肺炎の疑われるケースは6件あったが、これらの患者もやはり症状は軽微だった。分析対象となった40人を含め、最近まで入院していた90人の患者も同様の症状を示したと委員会は付け加えた。臨床分析した感染者の10%が65歳以上、58%がワクチン未接種だった。

 ただし委員会は、コロナワクチンの基本接種(2回、ヤンセンは1回)のみではオミクロン株に対抗する免疫力を生成するのは難しいと述べた。委員会は「研究では、基本接種のみを終えている高齢者と若い成人ともに、オミクロン株に対して測定されないほど中和抗体が少なかった。しかしブースターショット(3次接種)を済ませれば、高齢者と若い成人ともに中和抗体が100倍ほどに増えた」と語った。

デルタと異なるオミクロン…「COVID-22」と呼ぶべき

 中央委員会は、オミクロン株は従来のコロナウイルスとは異なる特性を示すと強調した。同委員会委員長であるソウル大学病院のオ・ミョンドン教授(感染内科)は「オミクロン株はデルタ株とは明らかに違う。従来のウイルスは下気道に感染するが、オミクロンは上気道感染」だと語った。委員会の発表を総合すると、デルタ株は下気道である肺で増殖し、肺炎などの致命的な呼吸器問題を引き起こすが、オミクロン株は鼻、咽頭、喉頭、口腔などの上気道で増殖し、鼻水などの軽微な症状のみを誘発する。オ教授は本紙とのインタビューで、「『COVID-19』(下気道感染)ではなく『COVID-22』(上気道感染)と呼ぶべき」と述べた。

 国外の事例においてもこのような症状は共通している。南アフリカでデルタ株感染者3万3400人とオミクロン株感染者14万人を調査したところ、入院の必要な患者はデルタが14%である一方、オミクロンは5%と低かった。入院期間もデルタが8日である一方、オミクロンは4日と短く、感染者に占める死者の割合も4分の1と少なかった。カナダのオンタリオ州公衆保健局の調査によると、デルタ株の死亡率は0.12%であるのに対し、オミクロン株は0.03%。また、集中治療室への入院率もデルタは0.42%、オミクロンは0.06%で顕著に低かった。英国では、インペリアル・カレッジ・ロンドンへの入院がデルタに比べてオミクロンの場合40~45%減少した。動物実験でも(米国NIH研究コンソーシアム、英リバプール大学)デルタ株は肺炎に発展した一方、オミクロン株は発展しないという結果が出た。

 委員会は、既存の防疫と医療対応システムはオミクロン株の大流行に耐えられないとし、被害の最小化、社会機能の維持という目標のための厳格な防疫から柔軟な防疫へと切り替えるべきだと強調した。オ教授は「オミクロンは拡散が非常に速いため、既存の防疫と医療対応の方法では手に負えない。厳格なK防疫を柔軟な防疫へと切り替えるべきだ。すべての医療機関が患者診療に参加すべきだ。オミクロンは、今回のパンデミックで乗り越えなければならない最後の山になると予測する。この峠を越すには2カ月もかからないだろう」と分析した。

コロナの合併症発生率、インフルエンザより低い

 この日はコロナの後遺症についての研究結果も発表された。健康保険審査評価院・審査評価研究所の研究チームは、審査評価院のビックデータを用いてコロナの合併症とインフルエンザの合併症とを比較した。昨年1月から9月までコロナへの感染が確認された2万1615人と、2017年7月から2018年6月までインフルエンザに感染した約238万人を分析した。合併症は「コロナまたはインフルエンザと診断される前の3年間に特定の疾病により医療機関を受診したことはないが、コロナまたはインフルエンザに感染した後に新たに発生した疾病で医療機関を受診したケース」と定義した。

 コロナ患者の合併症発生率は19.1%、インフルエンザ患者の合併症発生率は28.5%で、コロナ患者の合併症発生率はインフルエンザ患者より低かった。合併症としては消化器系、筋骨格系、歯周病、皮膚炎、脱毛、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、心血管疾患、心不全、脳血管疾患、自己免疫疾患、気分障害、認知症について発生率を確認した。合併症の相対的な危険度は、ほとんどの疾患でコロナの方がインフルエンザより低いか同程度だったものの、認知症(RR1.96)、心不全(RR1.88)、気分障害(RR1.73)、脱毛(RR1.52)の発生の危険性はコロナ患者の方が高かった。ただし、致命率はインフルエンザが0.05~0.1%程度なのに対し、コロナは0.9%(4日現在)とはるかに高かった。委員会は、コロナの合併症は多くないため、予防接種を通じて致命率が下げられれば、コロナはインフルエンザのように症状のある感染者中心に管理できると述べた。

 特に肺炎、心血管疾患、心不全、脳血管疾患などの深刻な合併症の発生率は、高齢者および併存疾患の多い人で高かった。研究チームは「コロナ患者は概ね合併症の発生率がインフルエンザ患者より低いか似たような水準だが、心不全、気分障害、認知症、脱毛の発生率はやや高く、高危険群は合併症の管理にも注意が必要だ」と説明した。

パク・チュニョン、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1026982.html韓国語原文入力:2022-01-12 11:29
訳D.K

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