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韓国保守野党「国民の力」の内輪もめの本質(2)

登録:2022-01-10 08:25 修正:2022-01-11 08:19
[ハンギョレS]ソン・ハニョンの政治舞台裏 
国民の力の内輪もめの本質
キム・ジョンイン前委員長の著書『永遠な権力はない』//ハンギョレ新聞社

(1から続く)

いつも全権を要求するキム・ジョンインの欲

 今回、ユン・ソクヨル候補と決別したのも同じです。キム・ジョンイン前委員長は全権を求めましたが、操り人形になることを懸念したユン・ソクヨル候補がむしろ彼を追い出しました。

 どうしたことでしょうか。キム・ジョンイン前委員長は、なぜ毎回、全権を要求するのでしょうか。独善的だからでしょうか? もしかして、朴槿恵(パク・クネ)候補、文在寅(ムン・ジェイン)代表、ユン・ソクヨル候補がキム・ジョンイン前委員長より年下だからではないでしょうか。彼は彼らを自分より「未熟な者」だと思ったのではないでしょうか。

 原因が何であれ、ユン・ソクヨル候補とキム・ジョンイン前委員長の今回の決別は、ユン候補がキム前委員長に総括選挙対策委員長の座を任せなかった方がマシな結果となりました。ユン候補はもちろん、キム前委員長も面目丸つぶれになりました。

 もしかしたら、キム・ジョンイン前委員長が朴槿恵前大統領に続き、再び人を見誤ったのかもしれません。一度ならともかく、二度も同じことを繰り返したわけですから、キム前委員長の人を見る目にも問題があるかもしれません。

 まとめてみると、朴槿恵大統領弾劾後、代案を見いだせず彷徨っていた保守支持層の勘違いやコラムニストのキム・デジュン氏のような保守論客たちの煽り、そしてキム・ジョンイン前委員長の個人的な欲などが重なり、大統領選に向けユン・ソクヨル国民の力候補が誕生したと言えます。

 本質的に私は、いわゆる保守勢力がユン・ソクヨル前検察総長を大統領候補に選んだのは、戦略的な判断ミスだと考えています。ユン候補は道徳的にも政治的にも検証されていない人です。辛辣な言い方かもしれませんが、保守勢力全体がユン・ソクヨルという政治アマチュアをけしかけて大統領候補に押し上げる冒険を選んだと思います。「良心」を忘れた選択と言わざるを得ません。

 誤りを正せる最後のチャンスもありました。保守の革新を求める民意の力で、2021年6・11全党大会でイ・ジュンソク代表が当選しました。党内予備選挙の終盤には、20代と30代の支持に後押しされ、ホン・ジュンピョ議員が一般国民世論調査でユン候補をリードしました。

 にもかかわらず、国民の力の議員と責任党員たちは民意に背を向け、ユン・ソクヨル候補を選びました。ユン候補の支持率下落と国民の力の内輪もめは、議員と責任党員の自業自得であるわけです。大統領選で与党の候補と戦うのは大変だったかもしれませんが、国民の力がホン・ジュンピョやユ・スンミン、ウォン・ヒリョンなど党内部の人物を大統領選候補に選出していたら、今よりずっと状況は良かったかもしれません。

 いまや関心事は、ユン・ソクヨル候補と国民の力の未来です。これからどうなるのでしょうか。

必修科目となったアン・チョルスとの一本化

 アン・チョルス候補との一本化は、「選択科目」ではなく「必須科目」となりました。一本化せずイ・ジェミョン候補を下すのは難しいからです。保守勢力全体が乗り出して、候補一本化に向けて圧力をかけるでしょう。

 まずは、ユン・ソクヨル候補がアン・チョルス候補を破り、その勢いに乗って本選でイ・ジェミョン候補に勝つのが最上のシナリオでしょう。2002年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領のようになるのです。

 第二には、アン・チョルス候補を抑えて本選に進出し、大統領選挙で敗れた場合です。ユン・ソクヨル候補が責任を一人で負わなければなりません。2012年の大統領選挙で文在寅民主統合党候補がそうでした。

 第三に、アン・チョルス候補と一本化競争で敗れて壮烈に戦死する場合です。保守野党の焚き付けとして歴史書に記録されるでしょう。

 一本化に失敗し、多者構図で大統領選挙に臨まなければならないかもしれません。多者構図で得票率が低い場合は、2017年のホン・ジュンピョ候補や2007年のチョン・ドンヨン候補のようになるでしょう。多者構図で善戦すれば、1997年や2002年のイ・フェチャン候補のように接戦の末に敗北するかもしれません。

 多者構図でイ・ジェミョン候補を破ることも、理論的にはあり得ます。しかし、実現の可能性はほとんどないとみるべきでしょう。イ候補が致命的なミスを犯すか、新たな不正疑惑で墜落でもしない限り、ほとんど不可能なシナリオです。

 ユン・ソクヨル候補に先立ち、政界に飛び込んだ法曹人として、ハンナラ党のイ・フェチャン総裁がいました。ソウル大学法学部を出た判事出身の超エリートでしたが、政治家としてはあまり成功しませんでした。

 ユン・ソクヨル候補は、イ・フェチャン総裁を反面教師にして、大統領に当選できるでしょうか。それとも、イ総裁に似た道を歩むことになるでしょうか。そうでもなければ、3月9日の選挙を機に、政治舞台から姿を消すのでしょうか。ユン・ソクヨルはいかなる運命を辿るでしょうか。皆さんはどう思いますか。

ソン・ハニョン政治部先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1026516.html韓国語原文入力:2022-01-09 21:48
訳H.J

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