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韓国の保守野党、大統領選に向けた選対委を完全解体…ユン候補、独自の選対本部設置

登録:2022-01-05 06:28 修正:2022-01-05 14:22
国民の力のキム・ジョンイン総括選挙対策委員長が今月4日、ソウル汝矣島の「国民の力」党本部に入り、取材陣の質問を受けている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 国民の力のユン・ソクヨル大統領候補がキム・ジョンイン総括選挙対策委員長を排除し、選対委を「完全解体」する方向に舵を切った。選対委を解散させてから、最小規模の実務型選挙対策本部だけを残すという構想だ。先月、いわゆる「蔚山(ウルサン)会合」でキム委員長が選対委に合流してから1カ月余りで決別へと進むことになった。

 国民の力の選対委関係者は4日、本紙の取材に対し、「ユン候補が選対委を解散させ、本部体系を改編したことで、キム・ジョンイン委員長は自然に職が解除される」と答えた。ユン候補の改編案は、最小規模の「実務型」選対本部だけを残し、これまでの選対委の責任者を全国各地に「分散」させ、支持を固めるという構想だ。ユン候補の最側近として物議を醸したクォン・ソンドン議員の進退はユン候補に一任されたという。クォン議員は現在、選対委党務支援総括本部長と党事務総長を務めている。

 前日キム委員長が提案した選対委の改編案は、政策・政務・公報など主な機能をキム委員長直属の総括状況本部に一本化する事実上の非常対策委員会体制だった。政策やメッセージをめぐり混乱をもたらした6本部を解体し、総括状況本部の統制下に置くのが主な内容だ。これまでユン候補が選対委内で調整されていない発言や政策を発表してきたことを問題視し、それを防ぐための対策と言える。しかし、ユン候補は選対委刷新の必要性を認めながらも、候補の主導権がない選対委体制に強い拒否感を示したという。

 特にユン候補は前日、キム委員長がユン候補との事前調整もなく選対委の全面改編を予告し、「我々(選対委)が作り上げた通り演技してほしい」と発言したことを非常に深刻に受け止めたという。一線を越えただけではく、ユン候補のリーダーシップに致命的な打撃を与えたと判断したわけだ。キム委員長体制をそのまま維持すれば、共に民主党が主張した、いわゆる「キム・ジョンインのアバター」や「上王」論争に悩まされると危険性を指摘する声もあったという。中央選対委のキム・ヨンナム常任公報特別補佐役は同日「交通放送(TBS)」のラジオ番組に出演し、キム委員長が前日、選対委改編を電撃発表したことを「クーデター」に喩えて、「(キム委員長の辞任が)むしろ良かったかもしれない」と非難した。キム委員長が先月選対委に合流して以来、これと言った存在感を示せなかったとし、「効用」を疑う人もいる。キム委員長が選挙戦略を総指揮したにもかかわらず、支持率下落の原因が候補個人にあるかのように責任を転嫁しているという批判も、ユン候補周辺から出ているという。

 イ・ジュンソク代表との関係も決別の「主な原因」と見られる。20・30代男性の支持を受けるイ代表と歩調を合わすべきと考えるキム委員長と違い、ユン候補側はイ代表と「共に行動できない」という反感が非常に強かったという。選対委にイ代表の「空間」を作ろうとしたキム委員長の構想を受け入れられなかったというわけだ。

 さらにユン候補は「文在寅(ムン・ジェイン)政権に立ち向かった気概を見せなければならない」という主張を受け入れたものと見られる。ユン候補特有の強靭さと粘り強さを示せなかったのが支持率下落の原因だと見て、キム委員長に振り回されず独自に動く姿を見せなければならないという主張だ。「キム委員長を排除した場合、中道層が背を向けるかもしれない」という懸念もあったが、結局、自ら主導権を握る形で「独り立ち」を選んだわけだ。ユン候補は同日夜、イム・テヒ総括状況本部長を瑞草洞(ソチョドン)の自宅に呼んで構想を説明し、イム本部長がキム委員長の自宅を訪ねてこのような内容を伝えたという。

 ユン候補は5日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)の党本部で記者会見を開き、選対委刷新案を発表し、自分の具体的な構想を明らかにする計画だ。この場で新たに構成される選対本部を率いる選対本部長も公開されるという。

チャン・ナレ、ペ・ジヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1026006.html韓国語原文入力:2022-01-05 02:33
訳H.J

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