24日に行われた朴槿恵(パク・クネ)前大統領の特別赦免が、約70日後に迫った大統領選挙の政局にいかなる影響を及ぼすのか、与野党が神経を尖らせている。共に民主党は批判世論を懸念しながらも、国民統合メッセージに期待をかけており、国民の力の内部では李明博(イ・ミョンバク)元大統領を赦免から除外したことが「分裂、離間の計」ではないかという反発が出た。
民主党、支持層の反発を懸念…国民統合の「肯定的な効果」に期待
前職大統領の赦免に反対していた与党の共に民主党のイ・ジェミョン大統領候補は24日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の赦免決定を「尊重する」と述べた。民主党では党と事前協議なしに赦免が行われたとして当惑しながらも、大統領選挙に及ぼす影響に注目している。
イ候補は同日、チョ・スンレ選対委首席報道担当を通じて発表した立場文で「文在寅大統領の国民統合のための苦悩を理解し、難しい決定を尊重する」とし、「今からでも国政壟断の被害者である国民に対する朴前大統領の心からの謝罪が必要だ。現実の法廷は終わっても、歴史の法廷は続くということを覚えておいてほしい」と述べた。イ候補が赦免決定を尊重しながらも「朴前大統領の謝罪」を要求したのは、政治的現実は認めるが、自分が主張してきた「赦免反対」の原則を守る姿を示すことで、文大統領と考えが違うという点を強調したものとみられる。イ候補は4日前、「ソウル新聞」とのインタビューで「謝罪もなく、過ちを認めていない状態で、国民世論も好意的ではないのに、(赦免は)時期尚早だ」とし、前職大統領の赦免に反対する立場を示した。
イ候補は同日、党本部で記者団に対し、朴前大統領の赦免に対する賛成可否を問う質問に「すでに決まったことについて賛否を問うのが何の意味があるのか。赦免・復権は刑事司法的な問題であり、国民の判断と歴史的判断はそれとは無関係に存在する」と述べた。民主党選対委の主要関係者はこれに関し「朴槿恵前大統領が高齢で健康状態が良くないため釈放すべきだと言うが、ならば他の高齢者との公正性に反するという問題提起もあり得る」とし、「今後も公正性を損なわないというメッセージを出し続ける」と述べた。大統領の独自の決断であり、イ候補や民主党とは考えが異なるという点を強調し、朴前大統領の赦免を大統領選挙を考慮した与党の工作だと主張する野党の攻勢を防ごうとしているものとみられる。
赦免効果についても慎重な反応を示した。選対委の主要関係者は「(今回の赦免が大統領選挙に)どんな影響を及ぼすかはまだ分からない」とし、「支持層が反発する可能性もあり、国民統合のために結者解之(自分が起こした問題や過ちは自分で解決すべきという意味)したことは良い方向に働く可能性もある」と述べた。しかし、一部は朴前大統領を同情する「保守的中道層」を引き入れるきっかけになるかもしれないという期待感も示した。選対委の他の関係者は「大統領が特定の支持勢力の立場を代弁するより、国民統合の観点で問題を見つめるというイメージを与えるという側面で選挙に役立つだろう」と述べた。
国民の力「李元大統領の除外は離間の計」と反発
野党の国民の力は朴槿恵前大統領の特別赦免を歓迎しながらも、今回の赦免が来年の大統領選挙に及ぼす影響などに神経を尖らせている。李明博元大統領が特赦の対象から除外されたことについて「保守支持層の分裂」を狙ったものという反発の声もあがっている。
国民の力のユン・ソクヨル大統領選挙候補は24日、党本部で記者団に対し「機を逸した感はあるが、朴前大統領の赦免を歓迎する」とし、「健康があまり良くないと聞いたが、快復を願う」と述べた。キム・ジョンイン総括選挙対策委員長も本紙との電話インタビューで「赦免は幸いだ」とし、「文在寅大統領が勇断を下したことを歓迎する」と述べた。
ただ、赦免を眺める国民の力の本音はやや複雑にならざるを得ない。今回の赦免決定が、過去の国政壟断などの否定的な記憶を呼び起こしかねないという懸念のためだ。「朴槿恵キッズ」として政界入りしたイ・ジュンソク代表は同日、これを意識したかのように、記者団に「党代表として国政壟断事件当時、党が十分牽制の役割を果たせなかったことを申し訳なく思う」と謝罪した後、「ユン・ソクヨル大統領候補を通じて作る次期政権では、絶対にそのようなことが起きないよう改革する」と述べた。低姿勢を示す一方で、国民の力が「弾劾の川」を越えたという点を繰り返し強調することで、政治的悪影響を事前に遮断しようという意図とみられる。
ユン候補も、国政壟断捜査を陣頭指揮した過去とは一線を画した。ユン候補はソウル中央地検長当時、朴前大統領の刑の執行停止を許可しなかったという指摘に対し、「私が許可しなかったわけではなく、刑執行停止委員会の医師らが(執行停止の)理由にならないと判断したことによるもの」だと説明した。朴前大統領が復党するかどうかについては、「健康を取り戻すのが優先ではないかと思う。あまりにも先走っている」と距離を置いた。
キム・ジョンイン委員長は赦免と大統領選挙との関連性を一蹴した。キム委員長は同日、記者団に対し「大統領選挙には大きな影響を及ぼすとは考えていない。朴前大統領が今の政権交代に対して異なる立場を持つことは考えられないため、ユン候補の妨害になるようなことは起きないだろう」と述べた。
李明博元大統領が赦免から除外されたことをめぐり、保守支持層の分裂に対する懸念の声もあがっている。ホン・ジュンピョ議員は同日、自身のフェイスブックに「二人の前職大統領をまた別々に赦免して、反対陣営の分裂を企てるのは実に狡猾な策略」だとし、「反間の計で野党候補を選択させ、また別の離間の計で野党大統領選挙戦線を分裂させる手口は実に驚くべきことだ。ただ、それに惑わされる我々を残念に思う」と書き残した。旧親李(明博)系に分類されるクォン・ソンドン事務総長は「二人の元大統領とも高齢で病を患っているのに、一人だけ赦免した。野党陣営の分裂を狙うための政治的策略」だとし、「(後に)キム・ギョンス前慶尚南道知事だけ(赦免)した場合、非難を避けるために李明博元大統領を残したのではないか」と主張した。