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米国、高齢層・高危険群にブースターショット緊急承認…追加接種めぐり悩み深まる韓国政府

登録:2021-09-24 05:46 修正:2021-09-24 06:41
韓国政府、27日に第4四半期接種計画発表 
高危険群の追加接種など含まれる 
日程は早くても来年2月以降になる見込み 
高感染危険群は年内の可能性も 
専門家「若年・壮年層はもう少し見守ってもいい」
今月23日、ソウル西大門区の北阿ヒョン文化体育センターに設けられた新型コロナワクチン接種センターを訪れた市民がワクチン接種を受けている/聯合ニュース

 米食品医薬品局(FDA)が、高齢者や高危険群、高感染危険群に対して新型コロナワクチンの追加接種(ブースターショット)を緊急承認した。韓国でも、27日に高危険群と免疫低下者を中心とした追加接種計画を含めた第4四半期接種計画が発表される予定だ。ただし、専門家らは50代以下の若年・壮年層など人口全体を対象にした追加接種は、追加接種のメリットがどの程度なのか、研究結果などを見極めてから判断しても遅くないと口を揃えた。

 FDAが22日(現地時間)、米国のファイザーとドイツのビオンテックが開発したワクチンについて追加接種を承認し、接種対象者は65歳以上、18~64歳の年齢層のうち重症発症リスクの高い集団と新型コロナ感染リスクの高い職業群に決めたと、AP通信などが報じた。これによって、疾病対策センター(CDC)諮問委員会の勧告が出れば、米国は実際に追加接種に入ることが可能になる。

 FDAのジャネット・ウッドコック局長代行は、保健従事者や教師、食料品店の店員、ホームレスのための憩いの場の居住者や関係者などが追加接種の対象に含まれると説明した。ウッドコック局長代行は「我々は新型コロナワクチンの安全性と効能について、さらに多くのことを知るようになった」とし、「急速に変わる科学的データを分析し、その結果を公開する」と付け加え、今後接種対象に変更が生じる可能性も残した。

 ただし、FDAの同日の決定は、当初のバイデン政権の追加接種計画から後退した内容だ。バイデン政権は、ファイザーとモデルナのワクチン接種から8カ月が経過したすべての国民に追加接種を実施する計画を立てていた。普遍的な追加接種から高危険群中心の追加接種に対象を限定したわけだ。

韓国も27日、ブースターショットの接種計画発表

 韓国の接種計画も同じ流れだ。これに先立ち、疾病管理庁も今年第4四半期に高危険群と免疫低下者から追加接種を行う方針を発表した。外部の専門家が参加する疾病庁予防接種専門委員会は今年8月、「接種完了から6カ月以降に追加接種を行い、免疫低下者などは6カ月以前でも優先的に実施するように」と勧告した。追加接種に関する具体的な内容は、今月27日に新型コロナ予防接種対応推進団で発表される第4四半期の接種計画に含められる予定だ。

 専門家らは、高危険群や免疫低下者などについては追加接種が必要だが、50代以下の若年層や壮年層など人口全体に対する追加接種は、関連研究結果を見極め、接種のメリットを検討してから決めても遅くないと説明した。国内で50代の年齢層が接種を始めたのは7月末で、疾病庁予防接種専門委員会の勧告と2回目の接種日程などを考えれば、彼らの追加接種は早くても来年2月末以降になる。嘉泉大学医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学)は「追加接種者に心筋炎など異常反応の発生可能性に関する資料が出るまでは時間が必要な状況だ」とし、「高危険群においては接種のメリットがリスクを上回っているが、若年・壮年層においてはメリットがどれだけ大きいのかまだ分からないと(FDAは)判断したようだ」と述べた。同大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)も「高危険群のほかに、どの人口集団に追加接種が必要なのか、精巧な研究結果がまだない」とし、「接種にかかる物的・人的費用を考えると、若年・壮年層まで追加接種を実施するメリットが大きいと考えられる根拠が現在としてはないということだ」と述べた。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)も「追加接種がどの程度感染リスクと重症化を下げるのかまだ明らかになっていない」とし、「接種の根拠が蓄積されれば、追加接種対象が拡大される可能性がある」と述べた。

 ただし、ブレイクスルー感染の可能性がある新型コロナ治療関係者やエッセンシャルワーカー(社会必須人員)など、高感染危険群の一部については、年内に追加接種の可能性を議論する必要がある。今月22日基準でブレイクスルー感染の累積推定事例は、国内接種完了者1461万人余りのうち0.04%(5880人)。ブレイクスルー感染のうち重症患者は68人、死者は28人だ。チョン教授は「新型コロナ感染者の診療に関わり、露出頻度が高く、ブレイクスルー感染の可能性がある医療関係者に対する追加接種は必要性が明確だが、救急隊員や警察官などにも必要かどうかについては、もう少し判断する資料が必要だ」と指摘した。

 政府は来年の接種のため、ファイザーやモデルナなどmRNAワクチン8千万回分と国産ワクチン1千万回分確保のための予算を編成し、ファイザー製ワクチン3千万回分の場合、契約を済ませた状態だ。ただし、これは追加接種の対象を拡大しなくても、定期接種などに活用できる。オム教授は「追加接種に関する議論とは別に、接種後1年が経過すると予防効果が減少し、インフルエンザのように定期接種が必要になるため、来年度のワクチンは十分に確保しておかなければならない」と述べた。

キム・ジフン記者、シン・ギソプ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1012529.html韓国語原文入力:2021-09-23 19:37
訳H.J

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