mRNA方式の新型コロナウイルスワクチンを生産している米国の製薬会社、ファイザーとモデルナが15日(現地時間)、ワクチンの効能は時間の経過と共に低下するという研究結果を発表したと、ロイター通信などが報じた。
ファイザーは同日、米食品医薬品局(FDA)のワクチン追加接種(ブースターショット)の承認に向けた議論を控えて提出した資料で、自社ワクチンの効能が2回目の接種完了から6~8カ月以降は少しずつ低下するという臨床試験結果を公開した。同資料によると、ワクチンの効能は2カ月当たり6%ずつ減少した。2回目の接種を完了した翌週のワクチン効能は96.2%だったが、それから4カ月後には効能が83.7%に減ったと、同社は明らかにした。
モデルナも同日、投資家対象の説明会で、ワクチンの効能減少の結果を公開した。同社は昨年7月以降、ワクチン接種者1万4千人を対象に調査した結果、ワクチンの効能が時間の経過とともに減少することが確認されたと発表した。
昨年ワクチン接種を受けた人のうち162人が新型コロナウイルスに感染したことが確認されており、その後ワクチンを接種した人の中では88人が確認されたと、ロイター通信が報じた。ただし、重症に発展した場合は19人にとどまった。同通信は、ワクチンの保護能力を判断する上で特に重要なのは、重症発生の有無だと報道した。
しかし英紙フィナンシャル・タイムズの報道によると、FDAはこうした研究結果がワクチン効能減少を断定できるほど確定的なものではないと指摘したという。FDAは同日に公開した説明資料で「全般的に見て、現在米国で承認された新型コロナワクチンは重症患者や死亡者の発生を防ぐ保護効果を十分に発揮している」と明らかにした。FDA諮問委員会は17日、ワクチン製造会社が提案した追加接種の承認案を検討する予定だ。
ワクチン接種完了者らに対し、追加接種を実施すべきかどうかの問題は、専門家らの間でも意見が分かれている。FDAのワクチン専門家であるフィル・クロス博士とマリオン・グルーバー博士、世界保健機関(WHO)のチーフ・サイエンティスト、スミヤ・スワミナタン氏など著名な研究者らは13日、英国の学術誌「ランセット」に寄稿した論文で、一般人対象のワクチン追加接種は必要ないと主張した。同論文には米国や英国、フランス、インド、南アフリカ共和国など主要ワクチン研究者も著者として参加した。