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「電子装置破壊、殺人」犯行動機は金銭問題?…犯行前に凶器購入=韓国

登録:2021-09-02 03:52 修正:2021-09-02 08:25
警察、プロファイラー投入へ 
被疑者、知人に生活苦を訴え
位置追跡電子装置(電子足輪)を破壊する前後に2人の女性を相次いで殺害した疑いが持たれているK容疑者が31日、ソウル東部地裁で開かれる令状実質審査に出席する際に、取材陣のマイクを蹴っている/聯合ニュース

 警察は、電子足輪(位置追跡電子監督装置)を破壊し、2人の女性を殺害した疑いがもたれているK容疑者(56)が、取り調べの過程で「金銭問題」が犯行動機だと供述したことから、事実関係を確認するため捜査力を集中させている。パク・ポムゲ法務部長官は、今回の事件で政府の保護観察制度の実効性に対する批判が高まっていることについて、「保護観察制度を全面的に再検討する」と述べた。

 1日の本紙の取材を総合すると、ソウル松坡(ソンパ)警察署は、前日に拘束したK容疑者に対して犯行動機を集中的に追及する一方、K容疑者が犯行期間に連絡を取った人を参考人として呼んで事情聴取を行っている。また警察は、金銭問題によるいざこざが犯行動機であるとみて、事実関係を確認中だ。K容疑者は2人目の被害者(8月29日に死亡と推定)である50代女性Aさんから2000万ウォン(約190万円)を借りており、この金を返すために最初の被害者(8月26日死亡推定)Bさんに金を貸してほしいと要求したものの、断られたため殺害したと警察の取り調べで供述したという。警察は、K容疑者が死亡したBさんのカードを使って先月27日午前に4台のスマートフォンを596万ウォン(約56万7000円)で購入後、中古携帯電話商に売却して480万ウォン(約45万6000円)を手にしていたことを確認した。しかし、2000万ウォンを借りたというK容疑者の主張については、さらなる確認が必要だとの立場だ。警察の関係者は「K容疑者の供述の信憑性はあまり高くないため、関連証拠と情況を引き続き確認しなければならない」と述べた。警察は、K容疑者の口座の金の流れなどを調べる予定だ。

 短期間のうちに2人の女性を殺害したことを、金銭的動機だけで説明することは難しいとの指摘もある。警察の取り調べで明らかになったK容疑者の最初の犯行当日の一部の行動も、偶発的犯行ではない可能性を示唆しているとみられる。警察は、K容疑者がその日、自宅周辺の金物屋で工業用切断機を買い、直後にスーパーで凶器を購入していたことを確認した。しかし被害者の死因は、解剖の1次所見では首を絞められたことによるものだった。ただし、被害者の遺体の脇付近からは小さな傷が確認されている。

 K容疑者が金銭的な困難を訴えていたという主張もなされている。K容疑者が通っていたソウル松坡区のある教会のC牧師はこの日、本紙の取材に対し「(K容疑者は仕事を得ることが)難しいと話していた。かなり(金銭的に)苦しんでおり、助けたりもした」とし、K受刑者が今年5月の出所後、生活苦を訴えていたと語った。C牧師は、清州(チョンジュ)刑務所でのボランティア活動を通じてK容疑者と出会い、K容疑者の出所後は化粧品の販売で生活費を稼げるように手助けした人物だ。C牧師は「K容疑者は化粧品会社に就職したのではなく、(私が)品物(化粧品)を買って(K容疑者に)渡せば、K容疑者がそれを売って、収益金の一部を私に入金するという感じだった」と話した。

 警察は、K容疑者の心理を分析し犯行動機を把握するため、プロファイラーを投入するとともに、K容疑者の顔や氏名などの身元情報を公開するかどうかを判断するための身元情報公開審議委員会を2日に開催する方針だ。

 一方、パク・ポムゲ長官は電子足輪着用者の管理・監督問題について、全面的に再検討中であることを明らかにした。この事件の発生直後の先月30日には、「電子足輪を破壊されにくくする」という内容の対策を打ち出していたが、原則論的な水準にとどまっているとの批判が相次いだことによる措置とみられる。パク長官は2日午前、京畿道果川(クァチョン)の法務部庁舎への出勤途中、記者団に対し、「(先日は)ブリーフィングが少し早すぎたようだ」とし「メディアと専門家に指摘されたことを含め、(関連対策を)全面的に再検討している」と述べた。

 パク長官は「法務部の保護観察官たちは、性犯罪の前科者であるK容疑者が電子足輪を破壊する前後に2人の女性を殺害し、その後に自首するまで、まともに対処できていなかった」との指摘に対し、「まだ(保護観察官たちに捜査権を与えた制度が)定着段階だが、制度を補完する必要があると思う」と述べた。人権侵害の素地があると指摘される深夜の居住地調査や強制捜査の条件緩和に関する部分まで、修正・補完される可能性が高くなったのだ。法務部は今年6月から電子足輪着用者の管理・監督業務に特別司法警察制度を導入し、保護観察所の公務員に直接捜査権を与えている。

 パク長官は、保護収容施設の導入が必要だとの一部の主張については「検討はするが、もう少し深く考えてみるべき」と慎重な立場を示した。法務部は、早ければ2日にもさらなる犯罪防止総合対策を発表する方針だ。

イ・ジェホ、イ・スンウク、オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1010118.html韓国語原文入力:2021-09-01 20:24
訳D.K

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