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「全国民」か、「所得下位80%」か…韓国、災害支援金の支給範囲で再び衝突

登録:2021-07-16 10:40 修正:2021-07-16 10:47
大統領選候補らの意見もそれぞれ異なり 
大統領府の介入は困難
文在寅大統領=大統領府共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルスによる被害支援のための災害支援金支給の範囲をめぐり、再び与党と政府が衝突する様相を見せ、大統領府も困惑する状況に置かれている。昨年4月、災害支援金を「全国民」対象にするか「所得下位70%」にするかをめぐり激しい対立があった状況が今回も再燃した場合、党政間の対立の管理に脆弱な大統領任期末のリスクが議論になる可能性があるからだ。

 大統領府の高官は15日、本紙との電話インタビューで「大統領の任期は1年も残っていないが、汎与党圏が180席をもつ国会は3年も残っている。大統領府が全国民支給に否定的だとしても、国会の論議を見守るしかない」と述べた。また「いくら与党が圧力をかけても、ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官が辞任するなどの状況は起こらないだろう」と述べた。大統領府の関係者の話を総合すると、大統領府は災害支援金の支給範囲を「全国民」よりも以前に与党・政府で合意した「所得下位80%」に共感しているようだ。特に2回目の補正予算案の国務会議決定直後に第4波のコロナ大流行が広がり、全国民よりも営業活動に直撃を受けた小商工人への支援に力を入れるべきだというムードが強かった。

 しかし、与党がすでに全国民支給を党論として決定した以上、国会の議論を慎重に見守らざるを得ない状況だ。さらに今回は、大統領選候補らが災害支援金の支給範囲に対してそれぞれ異なる判断を出しており、大統領府の立場を明らかにするのにも負担が伴う。これに対し、企画財政部と与党の衝突が破局に至らないことだけを願っている様子だ。ホン副首相はこの日開かれた国会予算決算特別委員会で「財政運用は、政治的に決まれば従わなければならないとは思わない」とし「上位20%の階層は所得減少がほとんどなかったため、下位階層に与えるお金を減らして5分位階層(上位20%)に与えるべきだという意見は慎重でなければならない」と、従来の立場を明確にした。

 コロナ拡散以降、災害支援金の支給範囲に関しては政府と与党が対立し続けている問題だ。昨年4月にも、共に民主党が総選挙の公約に掲げた全国民支給を推進すると、ホン副首相が当初の「所得下位70%支給」案を固守し、激しい対立が起こった。衝突が長期化して大統領府の責任論が提起されると、全国民に支援金を支給しつつ高所得者の自発的な寄付を誘導しようという代案が出て、辛うじて対立は収拾された。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1003762.html韓国語原文入力:2021-07-1602:30
訳C.M

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