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「韓国のコロナ対応のための財政支出、主要国に比べはるかに少ない」

登録:2021-03-04 10:12 修正:2021-03-04 13:56
GDP比支出規模、3.4%…米国16.7%、日本15.6%
「コロナ対応、各国の財政浮揚パッケージの規模」 左からメキシコ、デンマーク、インドネシア、韓国、スペイン、スウェーデン、オランダ、スイス、中国、イタリア、ベルギー、フランス、ブラジル、ドイツ、先進国平均、カナダ、日本、豪州、英国、米国=討論会資料//ハンギョレ新聞社

 国会が新型コロナウイルス被害支援のため、政府に提出する19兆5000億ウォン(約1兆8500億円)規模の補正予算案の審議を控えている中、韓国の雇用維持および自営業者への支援の規模は他国に比べはるかに少ないという研究結果が発表された。新型コロナによる経済危機からの回復のため、補正予算に景気刺激のための目的予備費を編成するなど、強力な財政支出の拡大が必要だという主張も出た。

 ペ・ギュシク元韓国労働研究院長は3日、大統領直属の政策企画委員会傘下の所得主導成長特別委員会が開いた討論会で、各国の国内総生産(GDP)に対するコロナ対応追加財政支出の規模を比較した結果、韓国は3.4%で、中国(4.7%)、フランス(7.7%)、ドイツ(11.03%)などに及ばないと明らかにした。米国や英国、日本はこれよりはるかに規模の大きい16.7%、16.3%、15.6%を支出したことが分かった。小商工人を支える資金などのように、各国政府が自営業者や雇用などを保護するために使った支出など、昨年の国際通貨基金(IMF)の資料などを用いた試算値だ。

 特に政府の今年の予算規模は、新型コロナの危機対応には足りないという評価も出ている。忠南大学のチョン・セウン教授(経済学)は、「2021年度予算は2020年度本予算に比べ増えたが、2020年の第4次補正予算案(まで合わせた)554兆7000億ウォン(約52兆6000億円)に比べるとほぼ変化がない。2021年度予算で韓国版ニューディールとして約20兆ウォンが使われることを考えれば、コロナへの直接対応予算は昨年よりも減ったと言える」と述べた。

 国債の規模だけを見ても、国の予算をさらに支出する余力は十分あるという分析もあった。韓国租税財政研究院のキム・ユチャン院長の分析によると、昨年増えた国債比率(GDP比)6.68%のうち、コロナ危機対応のための追加支出の増加分は2.51ポイントに過ぎなかった。一方、国家債務に対する利子費用(GDP比)は2008年以降2.3%から1.1%へと減り、負担が減っている。キム院長は「人的資本への投資を中心にした強力な財政支出の拡大が必要だ」とし「補正予算の編成過程で、自営業者に対する損失補償の他にも、下半期の景気浮揚と雇用創出のための一定規模の目的予備費を編成することを検討する必要がある」と主張した。

 この日の討論会では、コロナ危機対応のため国の予算をより十分に支出すべきであるということを確認し、死角地帯をなくすなど、支援方法についての議論が相次いだ。韓国保健社会研究院のキム・テワン包容福祉推進団長は「自営業者や失業および非経済活動人口のうち、かなり多くの人に求職給付や公的年金などの社会受恵金が支給されていない」とし「全国民災害支援金の支給こそ、両極化の解消と、全国民の消費増進を通じた国民所得増加と経済成長に、ポジティブな影響を及ぼしうる」と主張した。

 チョン・セウン教授は「現在、損失補償制を立法化すべきかについて論争が繰り広げられているが、実際に政府が十分に支援する意志さえ確かならば、新しい法を作らなくても実行可能なことだ」とし「あえて法を作らなければならないのかという疑問がある」と指摘した。仁荷大学のユン・ホンシク教授(社会福祉学)は「北欧福祉国家は、米国・日本・ドイツなどのような大規模な現金および金融支援は行っていない」とし、公的社会サービスと公共部門の雇用の役割を強調し「韓国社会はどのような社会・経済的条件でコロナ・パンデミックに直面したのか、検討が必要だ」と述べた。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/985278.html韓国語原文入力:2021-03-03 17:47
訳C.M

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