本文に移動

韓国首相、イランに向けて出国…「70億ドルの凍結資金」問題解決なるか

登録:2021-04-12 05:34 修正:2021-04-12 08:33
チョン・セギュン首相が世宗市政府世宗庁舎でソウルとテレビ会議による閣議を開き発言している/ 聯合ニュース

 イランに抑留されていた韓国人船舶と船長が9日(現地時間)、無事解放されたが、事件の原因とされる韓国内のイラン凍結資金(70億ドル)問題は依然として課題として残っている。チョン・セギュン首相は11日午前、イランの高官と協議するため、大統領専用機(空軍1号機)に乗ってテヘランに向かった。韓国首相がイランを訪問したのは44年ぶりのことで、今回特別に実現した訪問だ。しかし、凍結資金問題は米国の対イラン制裁と直結することから、韓国政府が独自に解決策を示すのは難しいものと見られる。結局、米国とイランをはじめとするイラン核合意(JCPOA・包括的共同行動計画)関係国間の合意復元交渉とかみ合った形で進展を期待するしかない状況だ。

 現在、韓国にはウリィ銀行とIBK企業銀行の2行にイランの原油代金70億ドルが凍結されている。2010年に米国が「包括的イラン制裁法」を施行した後に作られた韓国とイランのウォン建て決済システムを通じて蓄積された資金だ。韓国は、イラン産原油などの輸入代金を預け入れ、イランに物品を輸出した韓国企業はこの口座から代金を受け取っていたが、ドナルド・トランプ政権がイラン核合意を脱退し、イランに対する経済制裁を回復したことで、2019年5月から凍結された。

 韓国に凍結されている70億ドルのうち「近いうちに相当な進展」が予想されたのは1625万ドル程度。国連総会の投票権を回復するためにイランが拠出しなければならない最小分担金であり、韓国内の凍結資金で近く代納が行われる見通しだ。これに先立ち、韓国内のイラン資金で約3000万ドル分のインフルエンザワクチンや抗がん剤など、医薬品や医療機器がイランに輸出された。また、正確な規模は確認されていないが、イランの要請でCOVEXファシリティを通じた新型コロナワクチンの購入代金も凍結資金から送金された。

イランで3カ月にわたり抑留されていた韓国籍の船舶「韓国ケミ号」が今月9日(現地時間)に解放され、イランのバンダル・アッバース港付近のシャヒド・ラジャイ港を出港した=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 最も大きな規模で協議が行われているのは、「スイス人道的貿易協定」(SHTA)を通じた資金移転だ。イラン中央銀行のアブドルナセル・ヘムマティ総裁は今年2月、「まず10億ドルを(韓国側から)返還してもらう予定」だと明らかにしたが、実際に両国政府は約10億ドルをSHTAを通じて送金する案を協議してきたという。米国もこの方法自体には肯定的な立場を示しているが、あくまでイラン核合意の復元交渉の枠組みの中で取り上げる見通しだ。実際、イラン外務省のアッバス・アラグチ次官は6日に開かれたイラン核協定復元に向けた関係国会議後、「濃度20%のウラン濃縮を中止する見返りとして、10億ドル規模の凍結資産の解除を米国が提案したが、断った」と述べた。外交部当局者も9日、記者団に「イラン核合意交渉で韓国内の凍結資金に関する部分が多く議論されている」と伝えた。

キム・ジウン記者mirae@hani.co.kr (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/990536.html韓国語原文入力:2021-04-11 17:16
訳H.J

関連記事