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イラン、韓国に凍結された資金の移転協議内容を誇張したわけは?

登録:2021-02-24 04:44 修正:2021-02-24 07:09
チェ・ジョンゴン外交部第1次官が先月11日(現地時間)、イランのテヘランを訪問し、イラン中央銀行のアブドルナセル・ヘンマティ総裁など関係者らと懇談会を行っている=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 イランの国連分担金の一部を、韓国に凍結されたイラン資金(約7兆7000億ウォン)で納付する案に韓国とイランが同意した。しかし、イラン政府が米国との協議手続きの必要性に言及しないなど、内容を多少誇張して発表し、その背景に関心が集まっている。

 外交部のチェ・ヨンサム報道官は23日の定例ブリーフィングで、イラン凍結資金をめぐる韓国とイラン間協議の結果に関し、「現地時間22日、ユ・ジョンヒョン駐イラン大使とイラン中央銀行(CBI)総裁の面会で、イランが我々の提示した案に同意する意思を表明するなど、基本的な意見の歩み寄りがあった。ただし、実際凍結資金の解除のためには関係国(米国)など国際社会との協議が必要だ」と述べた。

 このニュースは22日、イラン政府のホームページを通じて先に知らされた。イラン政府はイラン中央銀行のアブドルナセル・ヘンマティ総裁が前日、ユ・ジョンヒョン駐イラン韓国大使と面会し、韓国内の凍結資産の移転と使用方法に合意したと発表した。また、ユ大使が「韓国はイランが韓国内のすべての資産を使用するために必要なあらゆる措置を取る準備ができている。これにはいかなる制限や制約もない」と述べたと伝えた。

 イランが韓国時間で22日夜遅く、このような内容を公開したことを受け、両国がイランの凍結資産の処理と関連して決定的な合意に達したのではないかという見通しも示された。イラン政府が公開したユ大使の発言もこのような解釈の根拠となった。ドナルド・トランプ米政権が2018年、イラン核合意(JCPOA・包括的共同行動計画)から脱退した後、イランに対する経済制裁を再開した際、韓国の銀行2行に凍結されたイラン資金は70億ドルに達する。

 同日の外交部側の説明を総合すると、両国が“同意”したのは、凍結されたイラン資金の“一部”を活用する案にかかわる細部手続きだ。米財務省の承認を得るためには、送金資金の規模と流れを詳細に示し、関連手続きに従って進めなければならないが、これについて意見が一致したということだ。これにはイランが国連総会の投票権を回復するために支払うべき最小分担金(1625万ドル)を韓国内の凍結資金で代納する案が含まれている。外交部は今月初め、「(凍結資金で)分担金を出すことについては(米国と)協議が終わっており、技術的な部分だけ協議が必要だ」と明らかにしていた。ある政府当局者は、「米国の銀行1行と話がまとまったと聞いている。米国銀行が(送金過程など)関連点検を行っている」と伝えた。

 両国は、国連分担金の代納のほかにも、凍結資金の一部をスイスの人道的貿易チャンネル「スイス人道貿易協定」(SHTA)を通じて伝える細部案にも同意したという。外交部関係者は「イランが考えられなかった案を韓国が提示し、イランが同意したとみていい」と説明した。昨年2月から本格的に始まったSHTAは、トランプ政権の承認の下、イランに人道的物品を輸出するために開設されたチャンネルで、スイスから医薬品や食糧など人道的物品を購入してイランに輸出し、代金はスイス銀行が保証する方式だ。これまでイラン政府は、この案に否定的な立場だった。外交部当局者は「米国との協議が必要だが、スイスチャンネルを通じてかなり大きな規模(の移転)を考えている」とし、「イラン側が満足できる金額だ」と説明した。

 イランが協議内容を誇張して発表したことについて、外交部はやや戸惑っている様子だ。凍結資金の移転問題で決定的な役割を果たす米国との協議手続きの必要性を省いて発表したからだ。ある政府当局者は「イランの希望事項を明らかにしただけ」だとし、「韓国とイランが意見の一致を見たとしても、米国の同意がなければ実行できない。(米国の同意がなければ)合意とは言えず、うまくいかないだろう」と見通した。今回の発表の裏には、イラン核協定(JCPOA)への復帰をめぐり米国と駆け引きをする過程で凍結資金問題の浮き彫りにしようとするイランの意図や、6月の大統領選挙を控えて成果を強調したいハサン・ロウハニ政権の思惑があるものと見られる。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/984143.html韓国語原文入力:2021-02-24 02:17
訳H.J

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