韓国の冬は寒く、粒子状物質(PM2.5、PM10など)が多い。「三寒四ミ」(3日は寒く、4日は粒子状物質(ミセモンジ)が多い)とも呼ばれる。「三寒四温」(3日は寒く、4日は暖かい)という伝統的な表現を言いかえるほどPM2.5は韓国の冬の著しい特徴となった。西から東に風が吹く偏西風帯に位置するため、西にある「世界の工場」の中国の影響を受けざるを得ない。昨年冬、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡散して中国の工場稼動が中断され、韓国の大気がはっきりときれいになった喜びを誰もが覚えている。
では、朝鮮半島の冬のPM2.5の原因はどこにあるのだろうか。北東アジアのPM2.5、PM10を研究する専門家と政府は「ケースバイケース」だと指摘する。状況によって、韓国国内主導型や、中国など国外流入型に区分できる。通常、国内の状況と国外からの流入の程度、気象状況が複合的に作用する。そのため、むやみに中国のせいにしたり、国内のPM2.5の発生要因を減らしたりして解決できる問題ではない。韓中日3カ国の自発的努力と共同研究、共同対策が必要だというのが専門家の分析だ。
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(1)13~14日のPM2.5は中国発ではなく国内主導型だった
朝鮮日報は11月16日付の1面トップ記事に「中国発のPM2.5、再び始まった」という見出しをつけた。「中国発PM2.5の恐怖」はメディアでよく使われてきたフレームだ。2015年、韓国言論学会で「メディアはPM2.5の危険性をどのように構成するのか?:PM2.5のリスクを報道するフレームと情報源の分析」を発表した梨花女子大学コミュニケーションメディア学部のキム・ヨンウク教授は論文で「2013~14年以降、『中国発PM2.5』というフレームの記事が相次いでいるが、ほとんどの人がこの立場を受け入れている。アンケート調査の結果、中国を主要原因に挙げた」と述べた。
今回のPM2.5の増加も中国発だろうか。まず、国立環境科学院と環境部は、今月13日から現れている韓国の高濃度のPM2.5は、中国からというよりも韓国内主導型だと分析している。
国立環境科学院・大気質統合予報センター長のイ・デギュン氏は16日、ハンギョレの電話取材に対し、「12日から現在にかけて発生している高濃度のPM2.5などの粒子状物質は、大気の停滞が主な原因となる国内主導型の事例と分析される」と述べた。「13日午後、上層に海外の汚染物質が一部流れ込み、国内の汚染物質と共に蓄積されて濃度を高めたが、全般的に国内の大気の停滞が続き、汚染物質が再循環し、高濃度が続いた」ということだ。
大気汚染度をリアルタイムで公開する国立環境科学院エアコリアと環境部の説明を総合すると、韓国内のPM2.5濃度は12日に最大80マイクログラム/立方メートルを記録した後、首都圏と忠清道圏でPM2.5の高濃度を維持し続けた。中国からのPM2.5がなかった11~12日にも、大気の停滞で国内のPM2.5が蓄積されており、その後、中国からさらに粒子状物質が流入し、首都圏や忠清南道地域の大気の停滞とあいまって、同地域のPM2.5が高濃度で保たれているという説明だ。実際、この期間のソウルの平均風速は1秒当たり1.8メートルと非常に弱かった。忠清南道瑞山(ソサン)と天安(チョナン)、世宗(セジョン)などは平均風速が1秒当たり1メートル以下と非常に弱かった。大気の停滞で汚染物質が持続的に蓄積しやすい状況だった。
キム・ヨンウク教授は、ハンギョレの電話インタビューで「PM2.5を中国のせいにすることになれば、私たちが当然すべきである石炭発電の中止や排出ガスの低減努力をしなくてもいいということになり、(結果的にこうした政策に)免罪符を与えることになる。韓国人はマスクをして空気清浄機を買えばいいということになる」と述べた。キム教授は「(こうした報道は)保守メディアが見せる中国嫌悪ともある程度関係があるようだ」と述べた。
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(2)もちろん中国など国外からの流入型PM2.5の発生もある
中国など国外流入型PM2.5が朝鮮半島に支配的な影響を及ぼす時もある。環境部は昨年1月11日から15日にかけて、高濃度のPM2.5が発生した際、中国などの国外要因が69~82%、国内要因が18~31%だったと分析した。
イ・デギュン氏は「韓国は基本的に偏西風帯にあるため、100パーセント国内要因、100パーセント中国影響とは言えない」と述べた。「国産のPM2.5」と「中国産のPM2.5」が区別される点がある。イ氏は「国内主導型はPM2.5排出が多い地域の特性が表れる。しかし、中国発PM2.5の影響を受ける場合は、PM2.5が北西の西海の白ニョン島(ペンニョンド)から南東に進み、朝鮮半島を全体的に通過する」と話した。
キム・ヨングク教授は「PM2.5の原因は複合的に作用するため、単純に誰かのせいにするのではなく、深層的で科学的な記事が求められる」と語った。
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(3) 韓中日3カ国の協力だけが生き残る道
呼吸器を苦しくするPM2.5の海外移動について知りたいなら、韓中日3カ国が昨年11月20日に共同発表した「北東アジア長距離移動大気汚染物質共同研究報告書」の主要内容を発表した環境部の資料を確認すればよい。3カ国が協力して研究した最新資料だ。
研究陣が2017年に韓国のソウル・大田(テジョン)・釜山(プサン)の計3カ所で測定・分析した結果、韓国で発生する年平均PM2.5の寄与率は、韓国独自の発生が51%、中国32%、日本2%、その他が15%だった。平均寄与率のみ公開することで合意したため、高濃度の状況での寄与率は公開されなかった。中国発のPM10が海を渡ってきて水分を含んだ後、韓国で独自に発生した排気ガスに出会い、さらに危険なPM2.4に変わるという研究結果もある。
結局、互いにつながっている問題だからみんなで努力するしかないというのが結論だ。韓日中の政府は、共同のPM2.5への対応・研究努力を続けるという立場を何度も明らかにしている。