大田東区の小学校1年生で3人の感染が確認されたことについて、教育当局と防疫当局は韓国国内初の「校内感染」という結論を下さず、慎重な態度を示している。防疫当局は、校内感染が疑われるものの学校ではなく学習塾などで感染した可能性もあり、断定するのはまだ早いとみている。韓国政府のこうした慎重な態度は、これまで「校内感染」を生活防疫の成否を計る「リトマス試験紙」としてきたことと関連があるものと見られる。校内感染の事例がなかったことを防疫対策が実を結んだ結果として掲げてきただけに、今回の大田の小学生集団感染については、特に慎重にアプローチしている。
中央災害安全対策本部(中対本)は今年5月初め、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応体系を「社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)」から「生活の中の距離置き」に切り替え、登校を再開してからずっと学校の防疫を強調してきた。パク・ヌンフ中対本1次長は5月7日、「生活の中の距離置きの最大の目標は学校の防疫で、登校授業が拡大したが、学校内の集団感染や確定事例はない」とし、生活の中の距離置きの防疫管理が「比較的成功している」と評価した。その翌日、ソウル龍山区の中京高等学校を訪問した文在寅(ムン・ジェイン)大統領も「生活の中の距離置きの成功は、学校防疫の成功にかかっていると言っても過言ではない」と述べた。
こうした中、大田の小学生集団感染が発生したことを受け、大田市や教育当局、防疫当局は、感染が確認された児童3人の間の感染経路を綿密に調べている。チョン・ウンギョン中央防疫対策本部(防対本)本部長は1日の定例ブリーフィングで「校内または校外空間、学習塾でこの生徒たちがどのように過ごしてきたのか、まだ綿密に調査されていない」とし、「全学年に対する全数検査と疫学調査を完了してから、結果を発表する」と述べた。
現在までの調査結果では、先月29日に同校の5年生であるA君の感染が最初に確認されたのに続き、翌日には同じクラスのB君と、同じ合気道教室に通ったC君がCOVID-19陽性判定を受けた。ただし、A君とB君は同じクラスなのに席がかなり離れているうえ、同じ塾に通っており、A君とC君はクラスは違うものの、普段互いに家で一緒に遊ぶなど親しいことから、学校の外で感染した可能性もある。校内で感染したかどうかの確認や隠れた患者の発見のため、防疫当局は学校全体を対象に全数検査を行っている。最初に行われた5年生の生徒や担任教師などの検査では、122人全員が陰性判定を受けた。
チョン・ウンギョン本部長は「COVID-19の特徴は無症状感染であるため、学校外の感染が学内に流入する可能性がいつでもあり、それを防ぐのは難しい状況だ。校内で感染者が発生しても、当該学校や生徒に非があるわけではないので、彼らを非難しないでほしい」と訴えた。
一方、京畿道議政府の同じマンションに住む住民6人の感染が確認された事例に関しても、感染経路をめぐる疑問が大きくなっている。感染者6人は3世帯から出たが、家族間の接触はなかったものと把握され、エレベーターなど共用空間で感染が広がった可能性もある。防疫当局は、同じマンションに住む住民244人に対する全数調査を行っている。1日午前0時基準で、COVID-19新規感染者は前日より51人増えた。このうち、地域社会での感染者が36人、海外からの流入事例は15人だ。